コンスタブル『トウモロコシ畑』の未発見習作がテキサスから発掘


ロンドン・ナショナル・ギャラリーの名作を作り上げた習作が200年ぶりに発見
ジョン・コンスタブルによる代表作『The Cornfield(トウモロコシ畑)』の制作に向けて作られた、これまで未確認であった実寸大の油彩習作が、ヘリテージ・オークションズの6月5日開催シグネチャー・オークション「Important European Art Auction」に出品されることになった。本作は、大規模な学術調査および保存修復研究を経て、コンスタブル本人による真筆作品であると認定されている。
テキサスの博物館で数十年間、眠り続けていた傑作
この習作は、長年にわたりテキサス州のジェファーソン歴史博物館に所蔵されていた。1970年、ニューヨークのニューハウス・ギャラリーから寄贈を受けたときから、本作は「ロンドン・ナショナル・ギャラリーにある作品の大型習作」と説明されていたにもかかわらず、その後数十年の間に真正性をめぐる疑念が生じていた。20世紀中頃のコンスタブル研究はまだ発展途上にあり、『トウモロコシ畑』には85点以上の模写作品が存在していたため、真贋の判断は極めて困難だったのである。
状況が変わったのは2017年。博物館がコレクション査定をヘリテージ・オークションズに依頼したことがきっかけとなり、古いニスと表面汚れの下に、従来考えられていた以上に重要な作品である可能性が見え始めたのだ。その後、作品はイギリスへ送られ、大規模な技術調査を受けた後、修復が施されることになった。
赤外線調査で明かされた、コンスタブルの制作プロセス
赤外線反射法、顔料分析、洗浄試験により、絵画表面の下に複層的な制作工程が存在していたことが判明した。絵具の塗布方法の違いや、先行する層が完全に乾燥した後に制作が再開されていた痕跡から、コンスタブルが長い中断期間を経て再び本作に戻ったことがうかがえる。
コンスタブル研究の第一人者アンヌ・ライルズと、修復家でコンスタブル研究プロジェクト創設者のサラ・コーヴによる広範な研究によれば、この新たに真筆と特定された作品は、1826年冬のロンドンのアトリエにおいて、完成作と並べられながら制作されていたと考えられている。
最も重要な発見のひとつは、コンスタブルが小規模な下絵から直接完成作へ移行したわけではなかったという点である。本作によって、彼が成熟期においても完成作と並行して実寸大の準備習作を制作していたことが明らかになった。
イースト・バーグホルトへの思い、200年の時を超えて
1826年にロイヤル・アカデミーで展示された『トウモロコシ畑』には、サフォーク州イースト・バーグホルト近郊のフェン・レーン沿いで、小川の水を飲む羊飼いの少年が描かれている。この土地は、コンスタブルが幼少期を過ごした場所であり、学生時代には毎日のようにこの地を歩いていた。『The Hay Wain(乾草の車)』と並び、イギリス風景画を代表する傑作のひとつとされる本作は、コンスタブルにとって極めて個人的な主題だったのだ。
1837年に画家が亡くなった後、支援者たちが作品を購入し、ナショナル・ギャラリーへ寄贈したことで、同館が初めて収蔵したコンスタブル作品となった。今回の習作の発見は、そのような代表作がどのように成立したのかという理解を根本から塗り替えるものである。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000135668.html