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第18回W選考委員版「小説でもどうぞ」 荒俣宏さんインタビュー&応募要項

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小説でもどうぞ
撮影/高橋源一郎=賀地マコト/荒俣宏=川口宗道

第18回W選考委員版「小説でもどうぞ」の募集がスタート!
ゲスト選考委員は、『帝都物語』の荒俣宏さんです。

また、季刊公募ガイド夏号(2026/7/9発売)では、荒俣宏さんのインタビューを掲載しますが、ここではこのインタビューの別バージョンをお送りします。応募前にぜひとも熟読ください。作家志望者必読の内容になっています。

レギュラー選考委員
高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。 小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

<第18回>
荒俣宏さん

1947年東京生まれ。作家、翻訳家、博物学者。1987年『帝都物語』で日本SF大賞を受賞。小説のほか、『アラマタ大事典』『知識人99人の死に方』など著書多数。

第18回のゲスト選考委員は、荒俣宏さん。
『帝都物語』など小説のほか、博覧強記の知識を駆使した著書多数。
そんな荒俣さんに作家になる心構えについて聞きました。
季刊公募ガイドの巻頭インタビューの別バージョンです!


新刊『文明怪化奇談』は、

新聞記者が語る短編集

―― 新刊の『文明怪化奇談』は約 20 年ぶりの怪奇小説だそうですが、もとは雑誌「怪」に連載されていたものですね。
 2011年から2013年にかけて連載したものをもとにしていますが、改稿したものとは作りが相当違っています。それぞれの短編は別の新聞記者が語り手となっており、これは今回、改稿して採り入れました。
――『文明怪化奇談』を書かれたのは、明治の新聞記者を調べたのがきっかけでしょうか。
 新聞記事ですね。昔の新聞記事はどういうふうに書いていたのか、作家として非常に興味がありました。
―― 明治の新聞を見ると、今とは句読点の打ち方からして違います。
 日本語のスタイルは、新聞から広まったんじゃないですか。5W1Hなどの文章の書き方ももとはみんな新聞です。だらだら書くな、形容詞を使うな、感動する用語は使うな、本題に関係のないことは書くなとか、みんな新聞から始まり、それが教育のほうに広がっていったのだと思います。
――『文明怪化奇談』に収録された「解説 新聞夜明け前騒動記」の中で言文一致について触れられていて、大変興味深く読みました。
 二葉亭四迷が亡くなったとき、並みいる名士が弔辞を読み上げましたが、言文一致の集団のくせに、みんな漢文調であり、言文一致で書いたのは島村抱月一人でした。皮肉ですね。
―― 言文が不一致など今ではとても考えられないです。
 明治期は日本語にとっても大変な時代ですよね。口語と文言の二本立てで、どっちもそれなりに進歩していましたが、これを両方一緒にして、さらにぐちゃぐちゃにして易しくするというとんでもない大手術をやりました。
―― それに一役買ったのが、明治期の新聞記者だったわけですね。



言文一致は書き講談から始まり、

小説もこれに影響を受ける

―― 言文一致と言えば、講談を書き起こした書き講談があります。
 講談の講釈師が言った言葉を、昔は録音機がないから速記してきて、そのまま文章にしました。新聞社が速記者を雇うようになったからできるようになったのですよ。おそらくはあれが正しい意味の言文一致です。
 作家が書いている文章は話しているかのように書いていますが、正しく言えば文語の近代版ということ。言文は一致していません。
―― 確かに、話し言葉では書いていません。
 昔の新聞小説には必ず相棒がいました。それが講談です。講談1本、新聞1本というのが新聞の構成でした。ここで言う講談は寄席でやっている通りに記者が書いて、それをそのまま掲載したものです。これでやたら読みやすかったんです。
―― 書き講談は、小説にも影響しましたか。
 二葉亭四迷の「余が言文一致の由来」に、師匠の坪内逍遥にどうすれば言文一致で書けるかと聞くと、三遊亭圓朝を聞いたらどうかと言われたという話がでてきます。  坪内逍遥の『内地雑居未来之夢』は今で言う講談用語で書いていますが、一つすごいところがあります。日常会話では何人かが同時に話すことがありますが、これを小説にすると、

「今日は雨でした」
 何人かが異口同音に言った。

 というように書かれます。これは全くの文語(書き言葉)の表現です。
 ところが、『内地雑居未来之夢』では、


と一つのセリフに3行使っていて、これは驚いたね。3人が同時に違うことを言ったのを同時に見られるようにしたわけだから、これこそ本当の言文一致だと思いましたよ。明治の小説はそれぐらい自由に書かれていたんです。



作家になるために

心掛けたい三つのこと

―― いい小説とは?
 読んだ人にどのぐらいリアル体験を与えるかっていうことが一番ですよね。脳が感動したことが一番の刺激となり、つまり、感情に結びつく。ただ単に知識を入れるだけだったら文学は必要ないわけですよ。感情とどう結びつけるか。その方法として文章をどう書くか考えることです。
―― 小説は虚構と言います。
 バーチャルでもリアルでも関係ないんですよ。脳が勝手に作る世界だから、嘘も本当もない。泣いたり笑わせたりする機会ということでは等価値なんです。
―― 嘘かどうかより、リアルさがあるかどうかですかね。
 小説の小ということが効いてくる。小説という言葉は中国でできた言い方ですが、大説は国がやっていて世の中に知らしめる権威あるもの。一方、小説は俗なやつが勝手に書いているという意味です。だから小説は本当かなという感じになりますが、それを逆手にとり、嘘のような本当の話を書く。
―― まさにエンタメ小説です。
 明治時代におお新聞と新聞があり、大新聞は政治向きの新聞、小新聞は一般の民衆向けに小説などをたくさん入れて、挿絵も入れて、徹底的に読みやすさオンリー、面白さオンリーにした。小説の源もここにあります。偉そうに書くのがいいわけではなく、臨場感が大事です。
―― 作家になるために心掛けたいことは?
 三つあり、一つは師匠を見つけること。誰でもいいんですよ。とにかくこの作家が師匠だ、自分はその弟子だと勝手に名乗る相手を一人作る。それでその作家の小説をしっかり読み、パターンを真似する。これが一番早い。
 どの作家も特徴があるからプロになっているので、どういうところがよくて何が世の中に受け止められたのかということは、読めばわかりますよ。
―― 荒俣先生の師匠は?
 僕は大学生のときに翻訳家としてデビューしましたが、僕の場合は平井呈一という小泉八雲の翻訳者がいて、中学生のときからファンレターを出して文通していました。それで先生の書き方を徹底的に真似したおかげで、それが自分の特徴となりました。
―― 真似して真似して新しいものを作るんですね。
 もう一つは、貧乏になってもいいから自分に投資すること。その最たるは本を買うこと。図書館で借りて読むのではだめ。やはりコストを払うほうが身につきます。
―― 三つ目は?
 さらにもう一つ挙げると、なるべくいろんな現地を見ることです。小説は案外頭で書いているんだろうと言われるのですが、なるべくたくさん自腹で見にいく。現地に行くと自信が持てます。
 作家になりたいなら、この三つをやれば、ある程度のところまでいくのではないかと思います。


荒俣宏さん 新刊
『文明怪化奇談』
(KADOKAWA・2684円)

日比谷焼討事件、怪屋敷「二笑亭」などで異聞を目撃した新聞記者たちが“怪談”を語る。「帝都物語」シリーズ以来およそ20年ぶりの怪奇小説。


W選考委員版 第17回「小説でもどうぞ」の結果発表と選考会の裏側は、季刊公募ガイド2026夏号(2026/7/9発売)または2026/7/9更新のこちらをご覧ください。
応募要項

生成AIの使用について規定を変更しています。
詳しくは、下記の応募条件をご覧ください。

課 題

■第18回 [ 奇跡 ]

この課題まだやってなかったですね。奇跡です。ミラクルです。ありえないことです。でも起こったのです。どんな? 誰に? そんな奇跡が? まさか? それも奇跡? 確かに奇跡。たぶん奇跡。お待ちしています。
(高橋源一郎)

締 切

■第18回 [ 奇跡 ] 
2026/8/9(23:59)

応募規定

本文1800字(約100字の増減許容)。
データ原稿はA4判40字×30行、縦書きの設定を推奨します。
(テキストデータは横書きでかまいません)

応募方法

WEB応募に限ります。
応募専用ページにアクセスし、作品をアップロード。
(ファイル名は「第18回_作品名_作者名」とし、ファイル名に左記以外の記号類、および全角記号、数字は使用不可)
作品の1行目にタイトル、2行目に氏名(ペンネームを使うときはペンネーム)、3行目を空けて4行目から本文をお書きください。
本文以外の字数は規定枚数(字数)にカウントしません。
Wordの方は作品にノンブル(ページ数)をふってください。
応募点数3編以内。作品の返却は不可。

Wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。

応募条件

作品は未発表オリジナル作品に限ります。
入賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属します。
入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
応募者には公募ガイド社から公募やイベントに関する情報をお知らせすることがあります。

生成AIの利用に関する規定
・生成AIの使用は、補助的な利用(アイデア、ファクトチェック、校正など)の場合は許容します。
・生成AIが出力した文章をそのまま使用することはできません。必ず人間による加筆・修正を行ってください。
・本文の全部または大半を生成AIに作成させた作品、および第三者の著作権その他の権利を侵害するおそれがあると判断された作品は、受賞後であっても取り消す場合があります。
・生成AIを使用した場合は、応募フォームの所定欄に使用したツール名と具体的な利用方法をご記入ください。

発 表

第18回・2026/10/9、季刊公募ガイド秋号誌上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※最優秀賞が複数あった場合は按分とします。
※発表月の翌月初旬頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


応募作品添削サービス!
「小説でもどうぞ」の応募作品を添削します。
受講料 5,500円
https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/