ナフサ供給不安で51.7%が在庫確保に動く、企業の対応力に大きな差
中東情勢の緊迫化で広がるナフサ供給不安、企業の調達戦略が二極化
中東情勢の緊迫化から3カ月が経過し、ナフサを原料とする資材の取扱制限が広がるとともに、価格も上昇している。企業の約7割が影響の強まりを実感する中、需要側の在庫確保と供給側の選別が同時進行している。調査の結果、約51.7%の企業が「在庫確保」による防衛策を講じる一方で、その対応力には企業の収益性や財務基盤によって大きな差が生じていることが明らかになった。
83.9%が「仕入コスト上昇」を実感、化学系加工資材で調達難が深刻
事業活動に生じている具体的な影響では、「原材料・部材の仕入コスト上昇」が83.9%で最多となった。「調達が不安定/入手困難」(73.0%)、「調達リードタイムの長期化」(50.2%)が続き、価格・納期・契約条件の変化が企業活動に広く波及している。調達支障が最も生じている資材は、塗料や接着剤などの「化学系加工資材」が29.6%でトップであり、「包装・物流資材」(20.2%)、「設備・建築・電子部材」(13.9%)が続く。川上の基礎素材ではなく、川中の加工・流通段階で使われる資材における相対的な調達難が浮かび上がっている。
商流による在庫格差が顕著、建設業は24日分にとどまる
サプライチェーン上の商流別では、在庫保有期間に大きな差が生じている。川上産業の平均在庫量は50日分、川中産業の「一次加工」では52日分を確保していた一方で、中間流通を担う「卸売・流通」は39日分にとどまった。川下産業では業種差がみられ、「建設業」で24日分と最も少なく、「最終組立」では56日分、「小売・サービス・インフラ」では45日分を確保していた。この偏りは、資材量だけでなく取引関係や価格条件にも左右される構造になっている。
企業の対応は複数施策が並行、低収益企業の資金繰り悪化が課題
短期的に実施している取り組みでは、「在庫の確保」が51.7%と半数を超え、次いで「価格改定」(39.5%)、「顧客への納期・価格・仕様の再交渉」(37.8%)となった。一方で、「在庫の確保」を実行できていない企業も37.2%に上り、対応余力には大きな差がみられた。特に「卸売・流通」では「顧客対応の優先順位付け」が21.6%と、他の商流より高い割合を示している。
収益性と財務基盤が対応力を左右、赤字企業で見積困難が51.6%
ナフサ供給不安への対応は、企業規模だけでなく収益性や財務基盤によって大きく異なる。営業利益率が赤字の企業では「仕入価格の変動が激しく、見積・契約が困難」が51.6%に達し、営業利益率10%以上の企業の33.9%を大きく上回っている。また「資金繰りの悪化」も赤字企業で15.1%に上る一方、営業利益率10%以上では2.7%にとどまった。有利子負債月商倍率が10倍以上の企業では「資金繰りの悪化」が18.6%に達し、「借入なし」の企業の0.5%と比べて格段に高い。低収益で借入負担が大きい企業ほど、価格改定までの一時的なコスト吸収や在庫確保に必要な資金を確保できず、経営が圧迫されやすい傾向にある。
供給元の把握と取引関係強化が重要に、業界全体での対応も進む
こうした局面では、複数の仕入先を持つだけでは十分ではない。商流をさかのぼれば同じメーカー・商社に依存している場合、調達リスクを十分に分散できているとは限らないため、供給元や一次代理店まで含めた商流把握が重要となる。政府の対応も総量の確保から、供給の偏りや流通の目詰まりの解消へと軸足を移しており、経済産業省は6月時点で石油製品について年度を越えて供給継続できる見通しを示している。企業には取引先との関係強化、二次取引先以降を含めた商流把握、価格転嫁を受け入れてもらえる商品・サービスの差別化が求められ、在庫確保や代替調達に必要な資金余力を確保することも重要である。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001369.000043465.html