廃材で生み出す美学、オランダの鬼才デザイナーが表参道に登場


スクラップ材を使ったユニークな作品で注目を集めるPiet Hein Eekのエキシビション
スクラップ木材や工場廃棄物などの素材を使用してユニークな作品を生み出し続けるオランダ人インテリアデザイナーPiet Hein Eek(ピート ヘイン イーク)のエキシビションが6月19日(金)よりCIBONE(表参道)にてスタートした。初日に行われたレセプションではPietと長坂常氏(ながさか じょう・スキーマ建築計画)によるトークイベントが実施され、想定来場者数を大きく上回る反響を集めた。
作原文子氏が手掛けた会場空間スタイリングが話題に
今回のエキシビションに際し、会場構成および空間のスタイリングはインテリアスタイリストの作原文子(さくはら ふみこ)氏が担当した。「時間」「素材」「人の気配」をテーマに、世界を旅して出会った私物の小物を多く取り入れたほか、輸送時にPietの家具が入っていたコンテナ箱を壁面に見立て、部屋のような空間を演出した。作原氏は「Pietが素材をとても大事にしているという考えは私もある意味同じで、テクスチャーやオブジェクトの重なり、佇まいがどういうところに置いたらどんなふうに見えるかというのを大事にスタイリングしてきました」とコメントしている。彼女は1996年に独立後、雑誌やカタログ、テレビCM、エキシビション、ショップディスプレイなど幅広く活動してきた。
廃材との出会いが生んだユニークなものづくり哲学
トークイベントではPietと長坂氏が「誤用」をテーマに、二人のものづくりにおける考えを語り合った。Pietは1989年頃の大学卒業制作時代を振り返り、「たまたま材木置き場に行ったときに廃材に出会いました。その頃周りの学生はできるだけ新しい素材を使おうとしていましたが、私からするとみんなが同じことをやっているように見えました。たまたま目にした廃材が私にはとても美しく見えたんです」と述べている。素材には何かインスピレーションを掻き立てるものが備わっていると感じるという。
理論と現場経験の融合がもたらす新しいものづくり
一方、長坂氏は建築における素材を単なるマテリアルだけでなく、場所性も含めた一つの素材と捉える。「その場所があるだけ、その分だけ可能性がたくさんあるというふうに思っていて、その場所に行って、そこで感じたことを一つ一つ作っていくと、世界の中に違うものが一つ一つ生まれてくるという」と語った。トークでは、理論に縛られた制限に対して現場の経験に基づいた知識の重要性が強調された。
不完全さの中にこそ美しさが宿る
Pietが一番興奮するのは「何かが不完全な時」だという。「不完全な時に『あ、これは成功したな』と思います。ちょっと座りづらいとか、わずかに歪んでいるとか。私はそれが一番いいというふうに思うんです。だからその僅かな失敗に美があると感じます」と述べており、完璧さよりも脆弱性の中に真の魅力があると考えている。
7月19日まで展示、35年前の卒業制作も初披露
PIET HEIN EEKエキシビションの会期は7月19日(日)までで、Pietの創作活動の原点とも言えるキャビネットを中心に作品を展示している。キャビネットは今から35年前、ピートがオランダのデザイン・アカデミー・アイントホーフェンの学生だった時の卒業制作物であり、廃材を使った独自の創作スタイルが生まれた最初のプロダクトである。スクラップウッドを用いた代表作に加え、アルミやオークなど異なる素材を用いたキャビネット、日本の生活様式に応答して制作されたキャビネット「Old Window Cabinet」が初披露される。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000788.000036230.html