あなたとよむ短歌 vol.31 攻めの姿勢
入選を逃した短歌や投稿できなかった短歌などを募集し、歌人・柴田葵さんと一緒に短歌をよむ(詠む・読む)連載です。ただいま、テーマ詠「ホラー」で作品を募集中!
(『母の愛、僕のラブ』より)
攻めの姿勢
秋晴れの季節になってきました。一方で、地域によっては台風や豪雨の被害が深刻に残り、北国の方では冬への備えを始めるころですね。皆さん、お元気でしょうか。心に余裕がないとなかなか創作や公募に挑戦できないものですが、焦らずにすごしたいものです。
短歌には、四季折々の美しさだけでなく、厳しさや寂しさ、災害なども詠まれてきました。「31音という短さだからこそ、辛いことも書き残せる」という側面もあるのかもしれません。
それでは今月も、みなさんの一首を読んで・詠んでいきましょう。
「短歌ください」は、このコーナーでも何度か取り上げたことのある公募。雑誌「ダ・ヴィンチ」で穂村弘さんが続けている人気コーナーです。毎月、テーマ詠と自由詠を公募しており、オンラインで応募できます。
今、大活躍されている歌人・木下龍也さんや、歌集『世界で一番すばらしい俺』が映画化された工藤吉生さんもこのコーナーの常連だったそうです。私自身も1年間ほど応募しつづけて、いくつか載せていただいたことがあります。親しみやすい口語短歌が多く採用されるのが特徴です。
さて、芦田さんの応募作、ドキドキしますね。
2人で危険な状態を乗り越えると恋に落ちたような感覚になる、「吊橋効果」という言葉がありますが、それを思わせる上句です。「先生」というのが学校の先生であるならば、「私」はおそらく学生なのでしょう。先生への強い憧れや、その恋が大っぴらにはできない危うさを伴っている自覚など、フレッシュな口語で詠まれた一首です。
1点、気になるのは「AならB」という繋ぎ方です。このように繋ぐ場合、基本的にはAがBの理由・原因であるはず。この作品の場合、「吊り橋に揺られて恋に落ちる」というのが、実際に起こっていることなのか比喩なのかが明確ではなく、「私はきっと先生が好き」の理由になるかというと疑問が残ります。
いっそのこと、グッと踏み込んだ「攻めの姿勢」で区切ってみるのはいかがでしょうか?
相手が先生だろうと、叶わぬ恋だろうと、気づいてしまったものは仕方がない。「恋に落ちるなら本望だ!」と言い切ることで、「私」の強い意思を表現しました。「私は先生が好き」というシンプルな結論も際立つような気がします。
先月から、テーマ詠の募集に変更になりました。ご自身に著作権がある作品でしたら、未発表、既発表、問いません。どんな作品が集まるか楽しみです。ぜひご応募ください。
引き続き、「あたなとよむ短歌」=「よむたん」でお会いしましょう!
応募規定 | 短歌(57577)を募集します。 テーマ詠「ホラー」。 応募点数制限なし。 |
応募方法 | 応募フォームもしくはTwitterでご応募ください。Twitterの場合は公募ガイド公式アカウント「@kouboguide」をフォローして、ハッシュタグ「#あなたとよむ短歌ホラー」をつけてツイートしてください。 ※応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。 |
賞 | 最優秀賞1点=Amazonギフト券3000円分 優秀賞2点=Amazonギフト券1000円分 佳作数点=ウェブ掲載 ※該当作品なしの場合があります。 ※作品を記事内で推敲する場合があります。 |
締切 | 2022年10月31日 |
発表 | 2022年12月1日 |