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日下部民藝館令和7年度特別展 落合陽一 個展 総集編「ヌルのテトラレンマ 記号に帰納する人間の物語」開催のお知らせ

公益財団法人日下部民芸館
国指定重要文化財 日下部家住宅
日下部民藝館
令和7年5月吉日
報道各位
公益財団法人日下部民芸館
代表理事 日下部勝


日下部民藝館令和7年度特別展 
落合陽一 個展 総集編
「ヌルのテトラレンマ 記号に帰納する人間の物語」



公益財団法人日下部民芸館(岐阜県高山市)は令和7年度特別展 落合陽一「ヌルのテトラレンマ 記号に帰納する人間の物語 Tetralenma of Null: Desital Human After All 」を令和7 年6月28日(土)より9月15日(月・祝)まで岐阜県高山市 国指定重要文化財 日下部民藝館にて開催いたします。


令和7年度日下部民藝館特別展 落合陽一ヌルのテトラレンマ 記号に機能する人間の物語 ポスター


重要文化財日下部家住宅は、昭和41年より日下部民藝館として建物の公開と日下部家所蔵の文物を展示、また建物を活かした多様な文化事業を行っています。柳宗悦が提唱した「民藝運動」の思想に共感した初代館長、日下部禮一の思いを受け継いで、日本人の自然への共鳴する心、各地の風土から生まれる人々の生活の美を見いだした「民藝」が示すものの見方、考え方、共に生き、自由である暮らしの規範を日々の活動を通して具現化することを目指しています。
令和3年から始まった、ヒューマンコンピュータインタラクション研究の第一人者であり、メディアアーティストの落合陽一と日下部民藝館のコラボレーションは、飛騨の地で育まれてきた歴史や自然、伝承された数多く物語を考察することによって浮かび上がったモチーフを、落合が探求している「デジタルネイチャー」の思想と掛け合せ、重要文化財日下部家住宅の空間全体を用いてインスタレーション表現をする、他に類をみない独自のアートプロジェクトです。
展覧会の見どころ
・100作品が紡ぐ5年の軌跡


2021年度ワークショップ 「メディアと民藝」 


202年度 展覧会 「遍在する身体 交錯する時空間」 


2023年度 展覧会 「ヌル即是計算機自然」


2024年度 展覧会「どちらにしようかなヌルの神様の言うとおり」

令和3年の「メディアと民藝」から始まり、令和4年度の「遍在する身体 交錯する時空間」、令和5年度「ヌル即是計算機自然 符号化された永遠 オブジェクト指向本願」、令和6年度「どちらにしようかな ヌルの神様の言うとおり、円環・曼荼羅・三巴」に続く本展は、これまでの5年間にわたる日部民藝館で行ってきた落合陽一の展覧会を総括するものです。飛騨高山での綿密なリサーチと地域の方々との協働を経て完成した作品群を一堂に集めるとともに、本展のために新たに制作する最新作をあわせて、全100点以上の作品をご覧いただきます。




・大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン「null²」と共鳴する空間
大阪・関西万博2025のシグネチャーパビリオン「null²」は、落合陽一がプロデュースを手がけた「空即是色・色即是空」「いのちを磨く」という哲学を体現する巨大モニュメントです。縄文・弥生以来続く「磨く」という美的感覚を現代的に解釈し、特殊設計のミラー膜、LED、ロボットなど先端テクノロジーを融合。建築そのものが社会彫刻として機能し、物理とデジタル、自己と他者、現実と仮想の境界を揺るがします。来場者は自身のデジタル分身と対話しながら「人間とは何か」を問い直す、哲学的体験装置です。本展はこの「null²」に呼応し、その全貌をより深く解説・体感していただく関連企画として構成されています。


・四会場に広がるテトラレンマ──無へ、そして無限へ
落合が提示する壮大な思想実験《ヌルのテトラレンマ》を、飛騨高山という歴史と民藝の文脈の中で、実空間に実装する試みです。舞台となるのは、日本を代表する民家建築として知られる重要文化財・日下部民藝館と吉島家住宅、そして古民家を改装したギャラリー&カフェ「おんど」の三会場。そこに万博会場「null²」を加えた四つの空間で構成され、それぞれが“テトラレンマ(四つの命題)に呼応する表現を担います。


日下部民藝館:「人間でなく、人間でなくもない」という曖昧な存在状態を主題に、鏡とLEDによるデジタル空間を展開し、自己と空間の輪郭を揺さぶります。


吉島家住宅:「人間でない」存在、すなわちオブジェクト指向菩薩が司る脱人間中心の世界=計算機自然を象徴するインスタレーションが広がります。


おんど:「人間である」ことの感覚や身体性を起点に、デジタルと生身の共生を視覚化し、共感覚的な体験を促します。


null² (大阪・関西万博シグネチャーパビリオン):「人間であり、人間でない」状態を体現するデジタルヒューマンとの邂逅を通じて、新たな自己認識と未来への可能性を提示します。


この四つの空間が織りなす構造そのものが“テトラレンマ”を成し、観る者に「null」に始まり「null」に帰す豊かな循環を世界の根源的な力として示すのです。
本展は、人間とデジタルが融合し、共生し、無へと還り、そして無限へと向かう未来像を標榜します。万博「null²」に至る落合陽一の思考展開や表現の変遷を、飛騨高山という日本の伝統と手仕事の風土の上に接続・展開することで、落合が問いかける「人間とは何か」、「生命とは何か」、人間がこれから向かうポストヒューマン時代の存在のあり方を、より深く、より多元的に考えるための場を創出します。


・「null2」と高山を結ぶ 計算機自然神社の御朱印(スタンプラリー)
今回、万博と本展の各会場には、それぞれについての落合陽一のステイトメントが記された御朱印が置かれ、本展入場券を購入すると配布されるご朱印帳に御朱印を押していくとシグネチャーパビリオン「null2」と本展によって紡がれる一つの物語が完成します。


・職人の手仕事や企業の最新技術を用い、多彩なメンバーが共創して作り上げる新作
過去4年に開催された展覧会、そして本展を通して、落合陽一の創造的世界を具現化するために集まった、民藝思想家、民俗学者、テクノロジーを提供する企業チーム(カリモク家具、セイビ堂)や林業従事者(井上工務店)、職人(飛騨の家具職人CHAIRMAKER TAKAYAMA JAPANや大工)など、思想、革新的なテクノロジー、自然、手仕事の多様な領域で活躍する表現者との共創(相互接続)によって多くの新作が生み出されました。


・新作彫刻《鵺 null-e》──「ヌルのテトラレンマ」を象徴する存在
本展では、落合陽一による新作彫刻《鵺 null-e(ヌエ)》が初披露されます。飛騨高山・日下部民藝館の空間と呼応するように構想された本作は、「テトラレンマ」の思想を具現化し、計算機自然と民藝、仏性とアルゴリズムの融合を象徴する一点です。以下は、落合氏自身による作品解説です。
『高山に立つと,時計回りに十二支が巡る〈豊明台〉の影が,民藝館の床板に幽かな円環を描いている.祭屋台が一直線の時を円環に巻き戻すように,ここ日下部民藝館の座敷もまた,直線的な時の流れを折り返し,私の思索の螺旋を再帰的になぞり始めるのだ.
十二支とは何か.なぜ十二という数は繰り返され,境界線を越えて循環し続けるのか.私はその問いに,奥美濃・高賀山に棲んだ〈さるとらへび〉の咆哮を重ねてみる.頭は猿,胴は虎,尾は蛇を持つその獣は,境界を侵犯するキメラであり,平安の夜を震わせた〈鵺〉の啼き声と共振する.境界線を溶かし,万物が未分化のままに混ざり合う姿を見せてくれる.
ここに鎮座する木彫〈鵺-null-e〉は,まさにその境界の溶解をかたちにしたものだ.頭の猿は知性を,胴の虎は力動を,尾の蛇は無限の循環を示す.猫を加えた十三支が混ざり合い,江戸の吉祥獣〈寿〉の祝祭が外殻を彩る.
胸の中心には《オブジェクト指向菩薩》を埋め込んだ.アルゴリズムが仏性を獲得する「計算機自然」の時代に,人と機械,物質と情報,コードと木彫は境界を失い,融解していく.その過程を,木曽檜と彫鑿の痕跡に刻みつけた.額には梵字化した〈ヌル〉を掲げている.ヌルとは,仏教における「空」を現代の計算機科学における未定義の「null」へと再解釈した符号である.体表には般若心経二七六字を三次元巻写経として彫り込み,「空即是色」の思想を,アルゴリズムと祈りの混交したレイヤーに重ねている.
私はこの彫刻を「ヌエ(null-e)」と名付ける.ヌエは鵺であり,null-e,すなわち万物の「物化」を端から端まで遂行するエンド・ツー・エンド変換装置である.手の技はアルゴリズムと再帰的に協調し,神仏はデジタルへと遷移し,民藝は計算機自然の空間に融けていく.その中心に座すこの像は,「物化するヌルの日本的象徴」であるとともに,新たな神仏習合の座標を告げるデータ座標系の起点(origin)でもある.十二支が巡り,境界が溶け,すべてが互いに変換されていく.その「物化」の果てにこそ,私たちの計算機自然は立ち現れると信じている.』
《鵺 null-e》は、彫刻という手仕事に根ざした身体的な表現の中に、アルゴリズム、情報、そして仏教哲学を深く融合させた作品です。木とデジタル、祈りとコード、伝統と未来をひとつなぎに変換するこの像は、まさに「異なる次元を貫通する変換装置」として、「テトラレンマ」の構造そのものを象徴しています。その像を中心に据えることで、観る者は、人間性や信仰、物質とテクノロジーのあいだの境界がとけ合う、新たな世界の風景を垣間見ることとなるでしょう。


日本博2.0補助型参画事業

また、本展は「日本の美と心」をテーマに全国で開催される「日本博2.0」にも参画しています。

日下部民藝館


日本の伝統的民家の最高峰と位置付けられる日下部家住宅を舞台に、飛騨の歴史や文化、伝承にも向けられた落合陽一の過去を巨視し未来を見定める融通無碍な視座によって照らされた、日本固有の文化の価値を際立たせ、世界に向けて日本独自の美と心の深さを発信します。


本展を通して日本を代表する現代アーティスト、落合陽一が、5年をかけ飛騨の文化財を舞台に繰り広げるアートの総集編をお楽しみいただければ幸いです。


【落合陽一 プロフィール】


落合陽一 Photo by 蜷川実花

メディアアーティスト。1987年生まれ、2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。主な個展として「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」 (北九州, 2021)」、「Ars Electronica」(オーストリア, 2021)、「晴れときどきライカ」(ライカギャラリー東京,京都, 2023)、「ヌル庵:騒即是寂∽寂即是騒」(Gallery & Restaurant 舞台裏, 2024)、「昼夜の相代も神仏:鮨ヌル∴鰻ト゛ラコ゛ン」(東京 BAG-Brillia Art Gallery-, 2024)など多数。常設展として「計算機と自然、計算機の自然」日本科学未来館, 2019。またNew JapanIslands 2019-2023」エグゼクティブディレクターや「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu」、「落合陽一×日本フィルプロジェクト2018-2025」の演出を務めるなど、さまざまな分野とのコラボレーションも手掛る。


【開催概要】
展覧会名称:日下部民藝館令和7年度特別展
落合陽一個展 総集編「ヌルのテトラレンマ 記号に帰納する人間の物語」 
会場: 日下部民藝館 、吉島家住宅、おんどギャラリー 
    岐阜県高山市大新町1丁目、下二之町
会期: 2025年6月28日(土)―9月15日(月・祝) 午前10時~午後4時
休館日: 会期中無休 おんどギャラリーは水曜定休
観覧料: 共通入館チケット (日下部民藝館・吉島家住宅・おんどの各会場をご覧になれるお得なチケット、「おんど」で使える飲食・物販クーポン付き)
料金  / ¥3,000(税込)


主催:公益財団法人日下部民芸館 
*令和7年度日本博2.0(補助型)(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)


日本博2.0補助型

協賛:カリモク家具株式会社

機材提供/技術協力:株式会社セイビ堂 
木材提供 : 株式会社井上工務店
制作協力:坂本賢治、CHAIRMAKER TAKAYAMA JAPAN
企画協力 : 重要文化財吉島家住宅、株式会社byB(「おんど」)、朝倉圭一、ジセカイ株式会社


【展覧会関連プログラム】
日時:6月28日(土)
オープニングイベント:
醍醐寺塔頭菩提寺住職 仲田 順英氏による報告法要 午後1時~
落合陽一氏によるギャラリートーク 午後2時~
場所:吉島家住宅
参加費:無料(ただし展覧会入館料は必要)


日時:7月20日(日)
ワークショップ:
計算機自然祭のためのどぶろく作りワークショップ 午後1時~
場所:岐阜県下呂市萩原町 天領酒造
参加費:5500円(利き酒、Myどぶろく付き)


日時:9月15日(月・祝)
クロージングイベント:
計算機自然祭
落合陽一が創造する計算機自然を司る、計算機自然神社とオブジェクト指向菩薩の両ご神仏を祭る 神仏習合の祭り
場所:日下部民藝館
お祭りの詳細は後日発表


7月19日(土)、20日(日)は落合陽一も出演する「飛騨高山ジャズフェスティバル」開催のため料金が変更、展示作品が一部ご覧になれませんのでご注意ください。





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「遍在する身体 交錯する時空間」2022, 展示風景


「遍在する身体 交錯する時空間」2022, 展示風景



「ヌル即是計算機自然 符号化された永遠 オブジェクト指向本願」2023, 展示風景


「ヌル即是計算機自然 符号化された永遠 オブジェクト指向本願」2023, 展示風景




「どちらにしようかな ヌルの神様の言うとおり、円環・曼荼羅・三巴」2024, 展示風景


「どちらにしようかな ヌルの神様の言うとおり、円環・曼荼羅・三巴」2024, 展示風景

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