

竜泉寺成田
あなたとよむ短歌 vol.68 テーマ詠「卵料理」結果発表
- 柴田葵のコメント

もし「カレーのトッピングといえば?」とアンケートを取ったら「卵」は上位にランクインしそうです。でも、ゆで卵か、目玉焼きか、生卵か……どれがその人の「普通」なのか、その感覚は異なるでしょう。 この「夕飯のカレー」は、外食ではなく、家で「きみ」が作ってくれたもののようです。そこにゆで卵が添えられていたのを見て、作中の主体(視点となっている人物)は「きみは他人」だと思った。つまり、主体はゆで卵派ではなかったんですね。 もし「きみ」と主体が家族になって、ずっと長く一緒に暮らしていたら、その家の「普通」がたくさんできていくことでしょう。けれども、「きみ」とは「他人」だという事実を、主体は「うれしい」と感じているようです。 「きみ」が「きみ」だからこそうれしいのかしれません。違う人間同士が、それでも縁があってこうして夕飯を囲んでいる、そんなよろこびがしみじみ伝わってきます。
このコンテストの結果発表
