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せきしろの自由律俳句 第44回「ボール」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第44回 課題:ボール

 

せきしろの一句

言い訳ではないが公式球だったなら

 

最優秀賞

キャッチボールを野球部に見られてる

(東京都 ゼットン 22歳)

見ている野球部はなんとも思っていないのに「なんだそのフォームは」「素人がキャッチボールするなよ」などと思われているのではないかと自意識に思いっきり支配されてしまう。その瞬間を切り取った句であり、身につまされる。一方で「あいつなかなかやるな……!」と野球部にスカウトされる可能性も頭の片隅に残してもいるのだ。

 

 

優秀賞

激怒に近いサーブがくる

(千葉県 xissa 55歳)

自分に向かってくるボールのスピード、勢い、強さ、乱暴さ、痛さ、はたまた相手の私怨までもがこれでもかというほど伝わってくる句である。昭和の部活を思い出すし、サーブではないがわざと取れないようなパスをしていた上級生のことも思い出した。

 

 

ボールが夕闇を呼ぶ

(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

子どもの頃を思い出すとボールと夕暮れはいつもセットだった気がする。ボールが夕闇を呼ぶように気がつくといつも暗くなっていたものだ。それは部活を始めても同じだった。もうそういったことはなくなったが、懐かしく、どこからか夕食の香りが漂ってきそうな句である。

 

 

佳作

ドッジボールに捧げる15分
(奈良県 長井泉 22歳)

ファール線引いて昼休みが始まる
(和歌山県 中村まふゆ 47歳)

転校生は横から投げた
(大阪府 フルカワ 29歳)

ラリーの音が急に止んだ
(兵庫県 守谷直紀 45歳)

人見知りの足元に転がってきた
(福岡県 アリ 31歳)

この音はきっとバスケだろう
(東京都 稲葉智子 41歳)

たっぷり間を取ったストライクのコール
(和歌山県 田中克則 41歳)

トスだけは異様に上手い
(石川県 浅草亭蓮兎 19歳)

顔面セーフの代償
(埼玉県 大野美波 33歳)

顔に当てた方も泣き出す
(北海道 エリンギ 33歳)

木の棒で引き寄せる
(神奈川県 川ハム 26歳)

体育館の天井のボールばかり見ていた
(埼玉県 さっちも 48歳)

グローブしかないから練習できない
(大阪府 へぷたん 51歳)

ボールの弾む音だけが駐車場に
 (兵庫県 寺林凌 28歳)

もう空気を入れる持ち主はいない
 (東京都 むーむー 38歳)

大道芸人が放つ軌道
(東京都 ビールおかわり 48歳)

またボールペンをもらう
(東京都 トントン 46歳)

ボーリングではなくボウリングだと何度
(岐阜県 次元 29歳)

彼のグローブは晴れ晴れしい音が鳴る
(埼玉県 ライト前ヒットバー 22歳)

しっかりと掴むリハビリタイム
(神奈川県 笹本耕治 70歳)

 

今月の総評

「ドッジボールに捧げる15分」の15分は休み時間の長さであろうか。捧げるという表現から子どものドッジボールに対する気持ちが伝わってくる。「ラリーの音が急に止んだ」という状況は過去に何度も経験しているはずだ。しかし気に留めることはなかった。改めてこうやって言語化されると自分は何か大事なことを見落としていた気になる。これからはラリーの音に敏感になりそうだ。「この音はバスケだろう」は私もバスケ部だったのでよくわかる。ボールの音とシューズの音が入り混じっている音だ。学校の体育館からこの音が聞こえてきたら私はついつい立ち止まってしまう。「顔に当てた方も泣き出す」は大変優しい句で、当てられた方はもちろん泣くが、当てた方はそれを見て「泣かせてごめん」と泣いてしまうのだ。「大道芸人が放つ軌道」からは高低差のある軌道が目に浮かぶ。高く上がったボールと空が見えてくる。「しっかりと掴むリハビリタイム」は今回最も力強い句である。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=5000円(商品券)

優秀賞2点=2000円(商品券)

佳作10点=記念品

公募ポイント

mottomo会員の方は、ログイン後WEBから応募するだけで自動的にポイントがたまります。

応募者全員=5pt追加

【最優秀賞】 さらに50pt追加

【優秀賞】 さらに30pt追加

【佳作】 さらに10pt追加

※応募者全員ポイントの付与は各回ひとり1回までです。

※ポイント付与は結果発表の時期に行われます。

募集中のお題

第46回「ラジオ」

応募期間 10月25日~11月20日

 

第47回「空」

応募期間 11月25日~12月20日

発表

第46回 2021年1月9日 WEB上

第47回 2月9日 WEB上