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第53回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「罪」結果と講評 

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小説
小説でもどうぞ
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結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第56回 [ 模倣 ] 
3/1~3/31(23:59)

■第57回 [ 裏切り ] 
4/1~4/30(23:59)

第53回結果発表
課 題

 今回の課題は「罪」。みなさん、けっこう苦心されたようです。もしかしたら、「罪」は無縁な生活をしているから? 素直には書けないから? あるいは、他にも理由が?

最優秀賞
蟹鍋 作品を読む
多賀谷なめろう

 最優秀となったのは多賀谷なめろうさんの「蟹鍋」。「蟹と目が合った」のがいけなかった。お歳暮にもらった蟹で蟹鍋を作ると夫に約束したのだ。だから「私」は調理しようとした。でもその蟹は生きていたのである。意を決して、動く蟹の生命を奪うところから調理スタート。しかし、それから「肉や魚を食べる度に、どこからかあの蟹が私を見ているような気がしてならない」のだ。生きるためには他の生きものを殺して食べるしかない。まさに人間の根源的な罪。でも、この短編、「後味」も良かったです!


 和田直子さんの「懺悔ループ」は構成が素敵。「町はずれの小さな教会」の「懺悔室」。そこには今日も信者たちが次々に罪を告白しにやって来る。「焼き立てのクッキーを食べた」男。司祭はもちろん罪を赦す。次に来たのは「クッキーを盗んで食べた友人を殴った」男。でもそれは間違いだった。その友人は卵アレルギーだったのだ。司祭は罪を赦す。その次に来たのは、クッキーを盗んだと疑われ殴られたけど、その疑いは晴れ、でも実は金を盗んでいた男……という「懺悔」の連鎖。そして、実に鮮やかでダークなオチ。


 雨森紫花さんの「神様のカフェオレ」は、繊細で微妙なお話。「私」は「キッチンシンクの縁に置かれたコーヒーマグ」、そこには「母が飲み残した」カフォオレが入っている。母との関係がうまくいかない「私」は「ささやかな報復」として「テーブルを拭いたその布巾を母のコーヒーマグの上で絞った」。ほんのちょっと。それが「私」のささやかな復讐だった。今もキッチンシンクの縁には母のコーヒーマグがある。それを見ると胸が痛む「私」。今はまったく異なって見える母の姿。でも「私」の心は……いいお話でした。


 矢宮順晴さんの「無罪放免」の主人公の「男」はとんでもない悪人だ。通行人とぶつかるとそれだけで馬乗りになって殴りつける。しかも財布を奪いとって牛丼チェーン店で食べ、アルコール摂取。それどころか、そこの女性店員を無理矢理バックヤードに連れ込み、思うがままに。もちろん、通報しようとした他の店員は蹴り倒す。そしてさらに競馬場へ。残念ながらスッカラカンになると、当たったらしい老人を追いかけ、また腕力で……からの転回とオチはなかなかお見事。そうだったのか。でも後味が若干悪いのが惜しい。


 榛野ひつじさんの「みかん」は、「俺はみかんが好きだ」という文章で始まる。とにかく「みかん」が好きな「俺」。でも経済的な余裕はない。そんな「俺」にビッグチャンスが訪れる。なんと和歌山出身の隣人のところには次々「みかん」が贈られてくるので一箱どうぞというのである。しかも高級な「有田みかん様」。ああなんと美味いのか。しかし、同時に「俺」は思う。「俺に有田みかん様を知らしめたこの罪、どう落とし前をつけてもらおうか」と。ここまで面白かったけれど、最後のオチがあっさりしすぎ。残念。

罪の芽 作品を読む
なりはらもな

 なりはらもなさんの「罪の芽」。「私」が同窓会に出席したのは、「堀部和人」に会うためだ。「私」はずっと「芽の出ない人生を送ってきた」が、それもすべて、小学校五年生の時の「堀部」との事件に由来するのだ。それは「インゲン豆の発芽実験」だった。よくある小学校での理科の実験。ところが、実験を開始して三日たっても、「私」と「堀部」のものだけが発芽しなかったのだ。そこで「私」は「堀部」の種に……それは恐ろしい結果となり「私」を悲惨な人生に導いたのだ……結末がちょっとありきたりだったかな。


 苗育果来さんの「半分の血」。高校入学を迎える「私」は、突然、母から「大事な話がある」と言われる。母が告げたのは「父の秘密」だった。父は、仕事場でケンカをしてその人を殺してしまい、自分も刑務所で亡くなっていたというのだ。罪深い父の血が自分の中にも流れていたのだ。「私」は、それが「頭から離れる瞬間はないと思う」。やがて、高校に入学した「私」は、入部した演劇部の先輩から、三浦綾子の小説『氷点』を渡される。それは殺人を犯した父を持つ少女の物語だった……結末がちょっと無理矢理だった。


 村木志乃介さんの「思い込み」の主人公の「僕」は、寝坊したので「いつもより遅い通学電車に飛び乗った」。目の前の「優先席」に「超がつくほど凶暴な鬼塚先輩」が座っている。その隣には「うちの高校の制服を来た女子生徒」。超可愛い。そしてなんと会話をしている。ますます見たくない風景だ。そこにお腹の大きい女性と老人と老婆が乗車してくる。思わず「鬼塚先輩」を見る「僕」。なんと、「先輩」は「強面のまま、無愛想に席を譲った」のだ。見た目で判断していた「僕」の「罪深さ」……ってほどじゃないかな。

応募要項
課 題

■第56回 [ コンテスト ]

 模倣です。真似です。そういうことが専門の芸人さんもいます。歌真似なんてジャンルもあります。小説だって模倣から始まりますね。AIなんか得意かも。いろんな世界のいろんな模倣や真似。待ってます、作品を。

■第57回 [ 裏切り ]

 いやですね、「裏切り」は。でもそう感じる時はたくさんあります。自分が誰かを「裏切る」、誰かに「裏切られる」。そういうつもりはなくても、結果としてそう思えてくる。誰にでもそんな経験はありそうです。

締 切

■第56回 [ 模倣 ] 
3/1~3/31(23:59)
■第57回 [ 裏切り ] 
4/1~4/30(23:59)

応募規定

本文2000字程度。縦書き。
(テキストデータは横書きでかまいません)
書式は自由ですが、A4判40字×30行を推奨します。

応募方法

WEB応募に限ります。
応募専用ページにアクセスし、原稿をアップロ―ド。
(ファイル名は「第○回_作品名_作者名」とし、ファイル名に上記以外の記号類、および全角の記号は使用不可。_の記号は半角に)
作品の1行目にタイトル、2行目に氏名(ペンネームを使うときはペンネーム)、3行目を空けて4行目から本文をお書きください。
本文以外の字数は規定枚数(字数)にカウントしません。

Wordの方は作品にノンブル(ページ数)をふってください。
応募点数3編以内。作品の返却は不可。


Wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。

応募条件

作品は未発表オリジナル作品に限ります。
入賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属します。
AIを使用して書いた作品はご遠慮ください。
入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
応募者には公募ガイド社から公募やイベントに関する情報をお知らせすることがあります。

発 表

第56回 2026/6/1、Koubo上
第57回 2026/7/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※最優秀賞が複数あった場合は按分とします。
※発表月の翌月初旬頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円
https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/