せきしろの自由律俳句　第42回「プレゼント」結果発表

2020/09/09

タグ: 川柳・俳句・短歌・詩; 投稿する; せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず（定型ではなく）、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

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結果発表

第42回　課題：プレゼント

せきしろの一句

ごっつあんですとおどけられた

最優秀賞

サンタさんの膝の鳴る音

（北海道　てふ子　17歳）

サンタさんというのは気づかれてはいけないのに膝が鳴ってしまうとは！　きっと40代以上のサンタさんであり、プレゼントを置くために屈んでから立ち上がる時に「よいしょっと」と声を出すサンタさんであろう。もしかしたら袋を担ぐ時、四十肩で腕が上がらないサンタさんかもしれない。以上、すべて自分に当てはまる話である。

優秀賞

値札を塗りつぶした油性の黒

（東京都　しまこう　32歳）

値札を取り忘れたプレゼントと、値札を綺麗に剥がせていないプレゼントと、値札が黒く塗りつぶされたプレゼント。この中でどれが良いのかはわからないが、見た目にパワーがあるのは塗りつぶされたものだ。光に透かしていくらだったのか見ようとさせるパワーもある。

誕生日の夜に隕石

（神奈川県　猫原えみ　40歳）

先日隕石が落ちたニュースがあったが、あの日が誕生日だったのだろうか。宇宙からの規格外のプレゼントである。この句は物語性を感じさせてくれ、ＳＦ映画のようでもあり、ラノベのようでもあり、そして新しく始まった漫画の第一話みたいでわくわくしてしまう句だ。

佳作

選んだ時間を包む
（東京都　のりぞう　56歳）

ファン一同の花が2つある
（神奈川県　へやぼし　30歳）

100均のハンカチなのに大事に使うパパ
（神奈川県　二郎　17歳）

全部喰えと王将にて父
（愛知県　タカタカコッタ　41歳）

隠しきれてない花束と歩く
（神奈川県　哲ロマ　40歳）

渡すまでの部屋にある時間
（長崎県　公木正　45歳）

きれいだけどいらない物を送る
（北海道　吉村侑太　34歳）

もらったカセットテープに入ってた曲だ
（神奈川県　リエカメレオン　57歳）

左手首に十年間
（福岡県　はしもり　25歳）

風船欲しさに引き返す
（東京都　ツウヤ　30歳）

あの人なら持っているかもしれない
（北海道　エリンギ　33歳）

鳥は今日も消えもの贈る
（埼玉県　川上訓　37歳）

クタクタだがシロツメグサの冠である
（三重県　KOZO52　52歳）

こんなのナンボあってもいいですから
　（岐阜県　一柳博之　61歳）

荷札に君の字
（石川県　いち　26歳）

ピエロがくれた風船が邪魔
（和歌山県　中村まふゆ　47歳）

贈った花束で殴られてる
（福岡県　牟仁田むに　32歳）

親から一文字もらった
（富山県　ポクリン　54歳）

袋の底にクラッカーの紐
（京都府　NCハマー　43歳）

時間をやる逃げろ
（栃木県　田仲昌仙　55歳）

今月の総評

プレゼントには選ぶ時間が存在する。『選んだ時間を包む』はその時間ごとラッピングしている優しいひと時が目に浮かぶ。さらにプレゼントには相手に渡すまでの時間が存在するもので、『渡すまで部屋にある時間』はそのあまり注目されない時間を句に封じ込めている。『もらったカセットテープに入っていた曲だ』という句から私は中一の時にチェッカーズの曲が入ったテープを貰ったことを思い出したのだが、テープをくれた子の名前は思い出せない。『クタクタだがシロツメグサの冠である』のまるでナレーションのような句がたまらない。『風船欲しさに引き返す』気持ちも『ピエロがくれた風船が邪魔』の気持ちもわかる。『贈った花束で殴られる』光景はプロレス中継でよく見たものだ。『時間をやる逃げろ』のようなシチュエーションがいつか自分に訪れるのかどうかをしばらく考えてしまった。

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

イラスト：飯田研人／撮影：賀地マコト

募集要項

自由律俳句は、定型（五七五）ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム（律）のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

応募規定

定型（五七五）でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「年齢」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定