【PART1】たった40分で誰でも必ず小説が書ける 超ショートショート”誌上”講座
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公募ガイド10月号(9/8発売)では、「その作品、みんなとかぶってますよ」と題し、いかに発想を広げるかという特集を組んでいます。その中で、ショートショート作家の田丸雅智さんを講師として迎え、「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート“誌上”講座」をやってもらいました。
ここでは、公募ガイドには盛り込めなかった部分も含め、さらに詳しく解説します。
公募ガイド10月号と併せてお読みください。
【講師】 田丸雅智(ショートショート作家)
Profile
たまる・まさとも。87年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。新世代のショートショートの旗手として活躍。『夢巻』『海色の壜』など著書多数。
【受講者】
- 田丸
-
みなさん、こんにちは。田丸と申します。
本日は、みなさんにショートショートを作ってもらいたいと思います。その前にショートショートの定義ですが、ぼくの講座ではショートショートを、「短くて不思議な物語」と定義しています。いろいろな考え方がありますが、一番大事なのは楽しむことです。定義についてはあまり深く考えず、リラックスして創作に臨んでください。
では、まず手順について簡単に説明します。
ステップ1 不思議な言葉を作る
ステップ2 不思議な言葉から想像を広げていく
ステップ3 想像したことを短い物語にまとめる
不思議な言葉というのは、たとえば、「発電に使えるタコ」や「ぽかぽかする傘」といった言葉です。「それ、知ってる」という人はいませんよね。
「それ、何?」と思う言葉です。
そういった言葉を作ります。
それでは、ステップ1「不思議な言葉を作る」から。
(1 )まず、好きな名詞を20個書き出します。
今回は「秋」をテーマにして、「秋」から連想する名詞を20個書き出してください。
もし途中で詰まってしまったら、周囲を眺めてみたり、辞書をめくってみてください。
どんな名詞でもかまいません。
制限時間は3分です。
それでは始めてください。
―― 3分経過 ――
できましたか?
それでは、この20個の名詞の中から1つ選び、丸をつけてください。
名詞を探して書いてみよう 赤とんぼ どんぐり さんま ぎんなん お彼岸 黄色 紅葉 山 さつまいも ハイキング 台風 芋煮会 稲刈り マラソン 梨 芸術 コスモス 学芸会 カシオペア座 オレンジ色 (2)次に、(1)で選んだ名詞から連想されることを10個書き出してください。
10個は、「秋」に関することでもいいですし、関係ないことでもかまいません。
制限時間は4分です。
それでは始めてください。
名詞から思いつくことを書いてみよう 祖父母 コンバイン お昼ゴハンがおいしい 農協 泥だらけの手足 新米を楽しみに待つ親戚 達成感 一致団結 疲労と睡眠 冬がくるなあ……
- 田丸
-
次に、(1)で書いた名詞20個の中の選ばなかった名詞と、(2)で連想した10個を組み合わせて不思議な言葉を3つ作ります。
たとえば、「タコ」という名詞と、「発電に使える」という「太陽」から連想した言葉があるとします。この2つを組み合わせて、「発電に使えるタコ」という言葉を作る、といった具合です。
あるいは、「マグマみたいな鏡」でもいいですし、「夕焼けたんす」でもかまいません。
ありえない、という言葉を作ってみてください。
このとき、少し言葉を変えて「発電するタコ」のようにしてもかまいませんし、
もっと言うと、「組み合わせるんだったら、タコではなく、紙コップがよかった」というのなら、「紙コップ」に変えてしまって全然かまいません。
不思議な言葉ができれば、それでかまいません。
「それってどういうもの?」と思うような言葉を作りましょう。
組み合わせるものが遠いほど、不思議な言葉になります。
- 田丸
-
どうですか。うまく作れそうですか。
(後藤さんのワークシートを見て)
たとえば、「お昼ごはんがおいしい」と「赤とんぼ」を組み合わせ、
「お昼ごはんがおいしい赤とんぼ」とか。
「泥だらけの手足」の場合は、「手足」をとってしまって、「泥だらけの」と組み合わせると......どれか面白い言葉はありますか?
- 後藤
-
「泥だらけのカシオペア座」
(一同爆笑)
- 田丸
-
そうそう、そういうことなんですよ。
「新米を楽しみに待つ親戚」なら、
「新米を楽しみに待つ台風」とか、「新米を楽しみに待つ学芸会」とか、わけわかんないじゃないですか。それでいいんですよ。 さて、みなさん3つの不思議な言葉ができたようですので、発表してもらいましょう。
- 畑
-
「吉田拓郎トンボ」
「ジャズ山」
「掃除が大変なススキ」
- 田丸
-
ああ、いいですね。ばっちりです。
- 濱田
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「ドラキュラそば」
「さつまいもでできたかぼちゃ」
「渋谷で山登り」
- 田丸
-
ほう、いいですね。
- 後藤
-
「新米を楽しみに待つ台風」
「泥だらけのカシオペア座」
「冬が来るなあと思うカシオペア座」
- 田丸
-
いいですね。同じ言葉でも組み合わせが違うと全然ニュアンスが違うんですね。ばっちりです。
- 三浦
-
「海の月という名前のきのこ」
「漂っている秋祭り」
「夕焼け大量発生」
- 田丸
-
全部素晴らしい。なんかこんな感じで、もうストーリーが膨らみそうですね。
ここまでがステップ1です。
※part2 へ続きます!