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せきしろの自由律俳句 第71回「流れ」結果発表

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川柳・俳句・短歌・詩
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せきしろ自由律

【自由律俳句とは】

自由律俳句は定型にこだわらず(定型ではなく)、しかし、リズムはある俳句。

情景を切り取り、その中に心情を込めてください。

 

結果発表

第71回 課題:流れ

 

せきしろの一句

車窓を流れていく事故現場振り返る

 

最優秀賞

せせらぎに手を入れ足も入れる

(北海道 三歩 70歳)

小さな川。水が「流れ」ている。そこにまず手を入れて水を感じてみる。続いて足を入れてみる。さらに水を感じる。そういう時間の「流れ」もこの句にはある。手と足を分けたところがゆったりとして心地よい。

 

 

優秀賞

ついでにタンポポにも水

(大阪府 フルカワ 31歳)

植木や庭の草花に水をやる。ホースで一気に水を撒いているのか、それともジョウロでひとつずつ水をかけているのかはわからないが、そのままタンポポなどの野草にも水をやる。そんな「流れ」が伝わってくる句だ。

 

 

話の流れを止めるハエ

(北海道 犬 46歳)

横光利一の『蝿』を思い出す。人間の会話を止め、面白かったはずの話を面白くなくしてしまい、あるいはロマンティックな雰囲気を壊してしまった蠅は気まずさだけを残して悠々と飛び立っていったに違いない。

 

 

佳作

いまは子供たちはこの場所が故郷
(埼玉県 さいこうじろくろく 76歳)

兄が出て行き僕には髭が生えた
(東京都 蛸壺 20歳)

特技まで言うんですか
(東京都 くろまきー 29歳)

このままではダンスをさせられてしまう
(大阪府 石川聡 41歳)

母隠す祖父取り出す
(兵庫県 まるごし 27歳)

時計のスピードおかしくなっちゃったんじゃない?
(滋賀県 チョコ 15歳)

せめていつもと違う道を帰る
(島根県 エズミ 29歳)

赤い皿のサーモンを待つ
(福岡県 はしもり 27歳)

次のエピソードへ進んでしまう
(静岡県 とうあつ 25歳)

落ゆる葉黙る林床
(千葉県 桜那恵 25歳)

ベッドと洗面所の隙間
(神奈川県 ごましお 24歳)

黙っていたのに流れ弾
(大阪府 山之口和悟 68歳)

天を味方につけました
(静岡県 春爺 80歳)

川の中の杭に引っかかる
(大阪府 Q幸 67歳)

医師の言葉に従うのみ
(宮城県 五十嵐舞 50歳)

このままだと当てられる
(滋賀県 にんじん 15歳)

炊飯釜の水を回す
(東京都 木暮俊貴 24歳)

淀みにあの子のサンダル生ぬるく
(東京都 増田鹿 41歳)

排水溝でなびく髪
(京都府 NCハマー 46歳)

ここで笑うと別れられない
(兵庫県 きざみのり 21歳)

ベルトコンベアーにみかん
(滋賀県 かまいたち 15歳)

観覧車がてっぺんに来てしまったので
(東京都 アイミ 26歳)

誰の笹舟も海を目指して
(大阪府 水槽 30歳)

流れるようにとるお菓子
(東京都 knockout 14歳)

まだ流れ出るのか肉汁よ
(北海道 エリンギ 35歳)

電光掲示板読んで損する
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)

 

今月の総評

『いまは子供たちはこの場所が故郷』。 最近は流行っている曲がのちの懐メロになる。そんな時代の流れ。 『兄が出て行き僕には髭が生えた』。時が流れている。そして家族が変化していく。 『特技まで言うんですか』。名前だけの簡単な自己紹介と思っていたら!そしてその続きのような句、 『このままではダンスをさせられてしまう』『母隠す祖父取り出す』。 この短い句の中に隠されたドラマは、今の私にはわからないことなのかもしれない。 『時計のスピードおかしくなっちゃったんじゃない?』。今後歳を重ねるごとにこの思いは強くなっていく。 私の時計は完全に狂っている。『せめていつもと違う道を帰る』。日常を少しでも変えるための行動。 『赤い皿のサーモンを待つ』。こちらは回転寿司店での句。『次のエピソードへ進んでしまう』 こちらはNetflixだろうか?『ベッドと洗面所の隙間』。こちらは水が流れる音が聞こえる作りの部屋の句なのだろう。 『落ゆる葉黙る林床』。静かに時間が流れていき、静かに季節が流れていく。

 

プロフィール

せきしろ

1970年北海道生まれ。俳人、コラムニスト。芥川賞作家でお笑いタレントの又吉直樹との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』のほか、『たとえる技術』などの著書がある。

 

イラスト:飯田研人/撮影:賀地マコト

募集要項


自由律俳句は、定型(五七五)ではない俳句です。定型ではありませんが、どこかリズム(律)のある句を募集します。句読点は使わず、俳句らしい味わいを意識して、心にしみるような情景、共感できるような情景を切り取ってください。俳句のもとは俳諧ですから、滑稽味があってかまいません。しかし、笑いだけではなく、しみじみ、ペーソス、人間くさいといった句を期待しています。

 

応募規定

定型(五七五)でない自由律の俳句。

面白コピーの募集ではなく、定型ではない無季俳句。

応募上のご注意

・ペンネームを使わない方は、応募フォームのペンネームの欄に本名をお書きください。

・応募フォームの「生年月日」の欄は必ずお書きください。

・応募点数に制限はありませんが、1応募につき1作品とします。

応募規定

作品は未発表作品とし、採用作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

応募者に弊社から公募に関する情報をお知らせする場合があります。

最優秀賞1点=Amazonギフト券5000円分

優秀賞2点=Amazonギフト券2000円分

佳作10点=記念品

募集中のお題

第73回「車」

応募期間 1月25日~2023年2月20日

第74回「親」

応募期間 2月25日~3月20日

 

 

発表

第73回 2023年4月15日 WEB上

第74回 2023年5月15日 WEB上