せきしろの自由律俳句 第78回「火」結果発表 (2/3)
第 78回 課題: 火
佳作
迎え火の仕方をネットで調べる
(兵庫県 エム 38歳)
ロウソク一本に集まる花火
(広島県 裏STF 42歳)
焔がうまそうに秋刀魚を喰っている
(神奈川県 Akiki 57歳)
ひとつのあかりに集まる青春
(滋賀県 m 17歳)
また1年後誕生日の匂い
(滋賀県 あ 17歳)
誰もが火を見ずに踊ってる
(北海道 エビマヨ 37歳)
火災報知器をずっと気にして焼肉
(島根県 キラキラ金魚 19歳)
火を前に正直に話す
(神奈川県 こめぞう 36歳)
消えない火がある
(滋賀県 さかなくん 16歳)
軍手で炭を掴む祖父
(北海道 ささみ 21歳)
火の粉に好かれる
(東京都 さやかみず 53歳)
花火の火を分ける
(滋賀県 シウ 17歳)
形見のジッポーをつけてみる
(大阪府 たーち 57歳)
手持ち花火にはしゃぐ父
(滋賀県 みかん 16歳)
焦げたししゃもと見つめ合う
(愛知県 ミワサン 45歳)
ストーブの周り談笑している朝
(群馬県 伊藤どらやき 49歳)
秋刀魚を焼く朝の静けさ
(東京都 稲葉智子 44歳)
火を怖がる君の前世は夏の虫
(埼玉県 夏巳 32歳)
ウーロン茶の氷で火を鎮める
(大阪府 古賀 39歳)
燃えてホルモンようやく食べる
(岐阜県 次元 32歳)
弱火で伝える怒り
(東京都 汐海 岬 51歳)
ガス点検のおじさんのスリッパが薄い
(大阪府 大仏ギャル 27歳)
焚火に枯葉などをいれてみる
(東京都 蛸壺 21歳)
見えない花火の音だけ聞こえる
(岡山県 白とり貝 33歳)
炭の軍手で頬を擦る父
(東京都 文月 21歳)
沸騰しないはずだ点け忘れている
(広島県 木村二段 53歳)
遠きベランダの煙草灯る夜長
(東京都 有城玲緒 42歳)
仏壇にあるチャッカマンの火が大きい
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)
『手持ち花火にはしゃぐ父』。作者がこの父親を見てどう思ったのかはわからないが、是非とも憶えていてもらいたい光景である。いつかかけがえのないものになるはずだ。不意に古い映像を見た時のような句である。『火を前に正直に話す』。静かな雰囲気とほんの少し伝わってくる緊張感が心地良い。『また1年後誕生日の匂い』。誕生日ケーキのロウソクの匂い。瑞々しいプルースト効果である。『燃えてホルモンようやく食べる』『ウーロン茶の氷で火を鎮める』。どちらも焼肉屋で見かける光景だ。『弱火で伝える怒り』。静かな怒り。『ロウソク一本に集まる花火』。みんなが花火に火をつけようとしている。ワクワク感が伝わってくる。『花火の火を分ける』。こちらも楽しそうだ。『ひとつのあかりに集まる青春』。文化祭が終わった後、こんな光景があった気がする。『ストーブの周り談笑している朝』『秋刀魚を焼く朝の静けさ』。どちらも好きな朝。 『軍手で炭を掴む祖父』『炭の軍手で頬を擦る父』。汚れていても綺麗な光景。
Amazonのアソシエイトとして、(株)公募ガイド社は適格販売により収入を得ています。