カキダシフォトコン 第2回「旅に出ることにした」結果発表
「140字の物語」でおなじみの神田澪が出すお題にそって写真を募集するという、
小説×写真の新感覚フォトコン!
お題は小説の書き出し一行目。一文から物語を自分なりに考え、その物語を予感させるような一枚を撮影してください。
神田先生が審査を行い、最優秀賞と優秀賞作品には写真から受けたインスピレーションをもとに話の続きをつけていただけます!
自分の写真から1つの物語が始まる。異なるジャンルの作品同士が脈々とつながっていく面白さをぜひ味わってください。スマホ写真も大歓迎です。
最優秀賞
photo by きゅーぶ
「旅先は誰かの故郷」
「うちの地元、観光するところなんてないって」
友人にはそう伝えたが、ある夏、僕を訪ねて遠い港町までやってきた。船着場に並ぶ船や川沿いの散歩道を見て、いちいち目を輝かせている。都会育ちだからだろうか。
今度、僕も旅をしようか、と考えた。
僕もまた、誰かの日常で目を輝かせるのかもしれない。
神田澪 書き下ろし作品
■撮影時、想像した STORY /明確な目的はないが、何かに急かされるように一人旅に出る。さあ旅を始めようと最寄り駅に向かう途中にふと目に飛び込んできた故郷の港風景。学校帰りや飼い犬の散歩など人生で何度も何度も見た光景であるが、しばらくは見ることはないだろうと謎の確信を持ちこの何気ない景色を目に焼き付ける。
優秀賞
photo by 萌Simba
「あの橋は虹色」
子どもの頃、虹の橋を渡ったことがある。
そう話しても、誰もが嘘だあ、と笑う。
けれど虹の橋は本当にあったのだ。あったはずだ、実家の近くに。
大人になってから古いアルバムを開くと、虹の橋の写真を見つけた。
目頭が熱くなる。川にかかる小さな虹色の橋を渡る瞬間、どんなに胸が躍ったか思い出して。
神田澪 書き下ろし作品
■撮影時、想像した STORY /渡れ渡れ虹の橋。しっかりと手を繋いで妹をリードする長女と、お姉ちゃんがいるから大丈夫と一生懸命着いて行く次女。小さな小川を渡るのも幼い姉妹にとっては大冒険で、この虹の橋を渡ったら別の世界があると信じている2人の、冒険の始まりに見えました。
photo by ふー
「だからこそ」
「退職させていただきたいです」
私の言葉に、電話を受けた人事部の担当者は驚いていた。
連休明けのことだった。「あらまあ。連休中は旅先でゆっくりするとうかがっていましたが、急にどうされたんですか?」私は心の中で答えた。緑豊かな自然の中で癒されてみてください。
そんな気持ちになりますから。
神田澪 書き下ろし作品
■撮影時、想像した STORY /お盆休み最終日。眺めのいい丘に来た。緑が綺麗だ。退職届だそうかな。
佳作
photo by ちぃ
■撮影時、想像した STORY /仕事で疲れたので、気分転換に趣味のドライブ。 好みの山道を運転していると先日の台風の影響か木が倒れてひらけた場所が… 今日も夕日が綺麗だと思いながらここまで来たけど、ここから見る今日の夕日はひときわ綺麗に感じた。
photo by FUSAKO
■撮影時、想像した STORY /長い間ここで子どもたちを見守っている彼。大人になった子どもたちが彼に提案をする。「たまには旅にでも出たら?」ここは私たちに任せて。でも、絶対道路に飛び出さないようにね。
photo by チョウピン
■撮影時、想像した STORY /旅は待つことから始まる
photo by むっとこちゃん
■撮影時、想像した STORY /傷心旅行のはずだったが、搭乗した飛行機の羽にハートマークがあった。たったそれだけのことだけれど、旅先で何か良いことが起こる気がした…
photo by リルラ
■撮影時、想像した STORY /船旅が好きだ。旅に出るなら、波が凪いでいる、こんな日が良い。横浜の氷川丸の内部公開で船内を巡り、潮風の匂いを嗅ぎ、船の歴史と航海エピソードの展示を見ながら、自分がこの時代に航海していたら……と、空想の翼を広げて楽しんだ一日。
photo by りんご
■撮影時、想像した STORY /いまはもうきっと誰も乗ることのない寂れたバス。もしかしたらこのバスは銀河鉄道の夜みたいに夜になると動くのかも。お盆の時期だから、もしかしたらわたしの母もこのバスに乗っていろんなところを旅するのかもしれない。その旅行が楽しいものでありますように。
photo by しもえり
■撮影時、想像した STORY /開こうとしているハスの花がすでにとても立派で みたことないものがこの世にはまだまだ沢山あるんだなあと思った、いろんな人に出会いいろんなものに出会いまだまだ未完成な自分を作っていきたい
テーマが旅ということもあり、乗り物、駅、道を進む子ども、空といった写真が多く集まりました。見るだけで大冒険をした気持ちになれるのは、写真のいいところですね。その中でも特に、確かにこれも旅だなと新たな発見をもらったり、いいな、旅に出たいなという気持ちになった作品を選ばせていただきました。
140字の"超短編"小説制作者。作家・作詞家。著書は「真夜中のウラノメトリア」「最後は会ってさよならをしよう」「私達は、月が綺麗だねと囁き合うことさえできない」など。
神田澪が
写真からインスピレーションを受け、
140字の小説を紡いでくれる!