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中村航選 プロットだけ大賞 第1回 佳作 Show Must GOEMON

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作文・エッセイ
プロットだけ大賞
結果発表

――第1回――
結果発表

お題ログライン

リングの上の事故で対戦相手を殺してしまった覆面レスラーが、そうとは知らずに彼を好きになってしまった対戦相手の娘と、過去を乗り越えて結ばれる話。


佳作

「Show Must GOEMON」
上下はる(著)

3.8★★★★☆
カテゴリ 恋愛 小説 SF

舞台・世界観

覆面プロレスラーの主人公、公認会計士の堅物ヒロイン、ヒロインの妹でレズビアンのフリーターが1594年京都にタイムスリップ。そこでは覆面義賊団を率いる石川五右衛門が、時の権力者・豊臣秀吉に追われていた。

登場人物

リングネーム:GOEMON 本名:石川豪(28)
男性。覆面プロレスラー。尊敬する先輩であり、恩人でもあるプロレスラーHIDEを試合中の事故で殺してしまい、罪悪感に苛まれている。タイムスリップした先で、自分とそっくりな男・石川五右衛門と出会い、正体を隠して覆面義賊団を率い、弱きを助け悪をくじく姿に共感を覚え、友情を育む。義賊団のメンバーにプロレスのパフォーマンス・テクニックを指導して、民衆の支持を拡大することに一役買い、一目置かれるようになる。五右衛門が目の前で命を落としたことをきっかけに、五右衛門に成り代わることを決意。五右衛門のふりをして五右衛門の妻子に会いに行くが、あっさりと偽者だとバレてしまい、恩人を見殺しにしたことを懺悔する。

「俺は、あなたの大切なひとを救えなかっただけじゃない。俺は、俺の恩人を殺したんだ。誰よりも尊敬していた、友達だと思っていたひとを、見殺しにしたんだ、目の前で、ふたりも……」

豊田雫(26)
女性。HIDEの長女。公認会計士としてバリバリ働く高学歴フェミニスト。大学に通わせてくれた父に感謝しているものの、暴力を見世物にする父の仕事には思うところあり、疎遠だった。タイムスリップした先では義賊団の会計業務を引き受け、総務仕事を取り仕切るようになる。豪のアドバイスを受けた義賊団の振る舞いが圧政に苦しむ民衆を熱狂させる様子を見て、父が生前大切にしていたショーマンシップについて理解するようになり、見た目に反して繊細で心優しい豪の人柄に惹かれていく。亡き五右衛門の跡を継いだ豪が、五右衛門の妻と懇ろになることを恐れていたが、気丈に振る舞う寡婦に懺悔する豪の姿を見て、彼こそが「GOEMON」であり、父の仇だと気付く。「五右衛門」として役人に捕縛されてしまった豪を救うため、義賊団を率いて、父と似た面差しのある豊臣秀吉に挑戦する。

「戦い続けろ。勝ち負けのためじゃない。戦うお前を見ているひとたちがいるんだ、その心を動かすために戦うんだ。ひるむな、派手にやれ!……父の教えです。GOEMONの戦いはこんなところでは終わらない、私が終わらせない!」

豊田恵(21)
女性。HIDEの次女。フリーター。レズビアン。現代日本では同性婚できないこともあり、将来が見えず、パートナーとの関係も長続きしないことが悩み。カミングアウトを受け入れてくれた父と、良き理解者である優秀な姉を慕っているが、二人の仲が芳しくないことを残念に思っていた。タイムスリップした先の日本で、同性カップルが当たりまえに暮らしている様子を目の当たりにして、カルチャーショックを受ける。義賊団の仲間と共に同性愛者や異性装者が集まる盛り場に出かけたところ、豊臣秀吉がバテレン追放令を出したために隠れキリシタンとなっていた役人に踏み込まれ、神の意思に反するふしだらな行為だと咎められ、襲われる。間一髪、助けに来た豪と石川五右衛門に救われるが、恵を庇い、五右衛門は死んでしまう。五右衛門の妻子に負い目を感じて謝罪に赴いたところ、強い男を利用していただけだから気にするな、と笑われて、次第に惹かれていく。子どもの面倒を見るうち、豪は五右衛門の子孫なのではないか、この子どもの命をつなぐことこそが、豪と雫が結ばれる未来に繋がっていくのではないかと思うようになる。

「あのひとに惚れてるの。現代に戻って理不尽と戦い続けるより、こっちに残って、ふたりであの子を育てていくほうがあたしは幸せ。石川五右衛門の子孫がどうなるか、未来で見届けてよ」

ストーリー

第1章

尊敬する先輩HIDEを試合中の事故で殺してしまった覆面レスラーGOEMONこと豪。葬式でHIDEの娘姉妹と知り合うも、正体を打ち明けられないでいた。驚いたことに、三人は1594年にタイムスリップする。

第2章

豪と瓜二つの石川五右衛門に救われた三人は覆面義賊団に加入して大活躍。天性のショーマンシップで民衆を熱狂させる豪に、惹かれていく雫。しかしながら、盛り場で役人に襲われた恵を庇い、五右衛門は死んでしまう。

第3章

五右衛門に成り代わる覚悟を決めた豪。五右衛門の妻に偽者と見抜かれ、「恩人を見殺しにした」と懺悔する豪を見て、彼こそが父の仇だと気付く雫。しかしながら、雫が想いを伝える前に、豪は役人に捕縛されてしまう。

第4章

雫と恵は義賊団を率いて”GOEMONとその妻子”を釜茹での刑に処そうとする豊臣秀吉を出し抜き、豪を救出。妻子に情が湧いたという恵を残し、現代に戻った豪と雫は、想いを伝えあい、過去を乗り越え結ばれる。