ボツちゃん脱出計画①:創作の壁をブチ破ろう!
落選のことをボツと言うが、これを『坊っちゃん』をもじり、ボツちゃんとした。ボツちゃんから抜け出そう。
挫折こそ入選のチャンス
誰もが通る挫折ポイント
公募(応募)を始めるきっかけは、創作をしたい、栄誉が欲しい、賞金を得たいなどさまざまだが、それで応募して落選した場合、こんなふうに言われた気がする。
- むだな努力だ。
- 才能がない。
なんでもそうだが、だめ出しばかりされていたらやる気がなくなってしまう。落選も同じで、人によっては自分を否定された気がして、意欲をなくしてしまう。
とくに応募経験が少ない人は、本当は惜しかったにもかかわらず、あるいは、これから大きな花が咲くにもかかわらず、「私には無理」とあきらめてしまう。
ここが最初に訪れる挫折ポイントで、ここを通過しない限り、入選者には永遠になれない。
では、どうするか。その前に、まずは落選した原因を探ろう。
落選したときの様々なリアクション
悔しがる
このタイプが一番伸びる。自信があるから悔しく、悔しいから方法を考え、努力も惜しまない。すべてのリアクションの基本。
テクニックを磨く
的に届く力量はあったが、狙う方向が違っていたか、方向を定める技量がなかったと、これを習得しようとする。技巧派。
大きな的を探す
的が小さいことが原因だと考え、より大きな的、または誰も狙わない的を狙う。簡単な的でも当たれば意欲につながる。
開き直る
人のやり方や傾向に左右されて自分を見失い、やはり自分が書きたいように書こうと開き直る。実力のある人が開き直ると強い。
人のやり方を見る
入選者はどんなやり方をしているのか探る。人に刺激を受けたり、技術を盗んだりはOKだが、サルまねに終わると失敗する。
パワーをつける
落選したのは基本的な力量不足だと考え、基礎力をつけるために一から勉強し直すタイプ。勤勉な人なので大化けするかも。
入選しない根本的な原因
時間がない
納得できていない作品だったが、今月は忙しく、もういいやと応募してしまったというケース。
才能がない
応募した分野については、基本的な力がなかったのかもしれない。しかし、才能は磨かれるもの!
経験がない
創作した経験が乏しく、うまく作れないケース。慣れなければみんなそうで、やりながら覚えたい。
やる気がない
落選に慣れてしまい、どうせまただめだと惰性でやってしまうケース。集中力やメリハリが必要。
公募の知識がない
その道のプロが応募しても、公募では落ちることがある。公募の特性についても知っておきたい。
つまづきを解消しよう
入選しない原因を解消する方法は?公募ガイドに登場した著名人の名言とともに考えてみよう。
本当に時間がないのか
創作する時間を最初に確保しよう
アイデアが出ない、うまく創作できないときは、目先の用事や急ぎの用件を優先してしまう。結果、時間がなかったと言いたくなるが、これは創作できなかった言いわけであることが多い。
創作したくてうずうずしている人は、何をおいてもまず創作をする。創作する時間を先にとってしまう。ほかのことはやらないか、やらなければならないなら、残った時間の中でこなすはずだ。
早朝から深夜まで仕事をしているのなら別ですが、休日もあるだろうし、自由に使える時間はある程度はあるはず。そのとき、書くことを優先順位の1位にすること。飲みにも行きたい、付き合いもあるからと、書くことを優先順位の4番目、5番目にしているから暇がないだけ!
山口恵以子(小説家)
誰でも最初は未経験者
経験値が上がるまで多少の我慢は必要
何度か応募して、「やっぱり入選なんてしない」と言うのは早すぎる。どのジャンルでも、何年という単位でやってみて初めてわかってくるコツもあるし、落選することで気づくポイントもある。
また、同じジャンルの中でも、この系統の主催者は無難なものを選びそうとか、この公募は初心者では歯が立たないなど、審査結果などを通じていろいろ見えてくる。そこまでは多少の我慢は必要だ。
才能のせいにしていないか
才能があることを前提に創作すること
本当は努力を怠ったのが落選の原因でも、すべて才能のせいにしてしまえば、自分が傷つかない。また、周囲も「才能がないなら仕方ないね」と納得する。
なぜか。才能があるかどうかは誰にもわからないので、「ない」と言われれば、「そうなんだろうね」と思いやすいからだ。
「才能はある。なくても才能のせいには絶対にしない」。これは創作する人の大前提。
才能があるかどうかなど、何年間か、そのことに必死で取り組んでみないことにはわかるものではない。
夢枕漠(小説家)
やる気がないを解消:やる気を引き起こす3つの方法
1.方法・手段を明確にする
創作したい衝動があっても、何をどうしていいかわからないと、机に向かう気になれない。しかし、方法や手段がわかると、俄然やる気になる。
文章でも、最低限、題材と結末が決まっていると、書く気になる。やる気が出ないときは、まず具体的なプランを作ろう。
2.ルーティーンワークを持つ
朝一番などは、創作モードに頭を切り替えないと、いつまでもだらだらしてしまう。作家が仕事部屋を持つのは、仕事部屋に向かううちに頭が仕事モードになるから。自宅で創作する場合はコーヒーをいれるなどの習慣をつけ、それをしたら条件反射的に創作に向かうようにする。
3.創作している姿をイメージする
脳科学の篠原菊紀先生によると、やる気が出ないときは脳をだますといいそうだ。頭の中で「創作している自分」を想像すると、線条体(一度動き出すと継続しようとする部位)が働き、やる気が出る。パッと立ち上がって、サクサクと書いてと擬音を使うと、効果が出やすい。
四の五の言わず、とにかく始めればいい:やる気になる3つの法則
【 自己効力感 】
自己効力感というのは自信のこと。「私にはできる」「今回はできる」という感覚。根拠のない自信でもいい。成果が出るという確信があるからやる気になる。
【 自信を裏付ける体験 】
成功体験は「前もできたから今回もできる」。代理体験は「彼でもできるのだから私にもできる」。
また、「あなたならできる」も自信につながる魔法の言葉。
【 接近勾配の法則 】
目標が近づくと、俄然やる気になるという法則。長編小説も最初は苦労するが、半分を越えたあたりからどんどん加速する。とにかく軌道に乗ってしまえば勝ちだ。
※本記事は「公募ガイド2018年11月号」の記事を再掲載したものです。