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文学賞特集⑤:ライトノベル戦国時代2

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門戸の広さは業界屈指!の王者 電撃小説大賞

受賞=出版が確実な夢へつながる扉

アスキー・メディワークスが主催する電撃大賞は、第17回目を迎えた昨年、小説・イラストの両部門での応募総数が5400を超えた。
総発行部数1億冊を突破する電撃文庫に数多くの大ヒット作家を送り出しているこの公募は、毎年一度、4月10日締め切りで行われ、受賞者が10月に発表される。
小説部門の中には、大人のための新しいエンターテインメントを発掘する「メディアワークス文庫賞」もあり、小説部門ではライトノベルのワクを超えた幅広い作品を常に求めている。それがこの賞の最大の特徴だ。
「たとえば、『これはライトノベルとはいえないな』と自分では思えてしまう作品であっても、かまわず応募してほしい。かつては選考から外されていた作品も、小説部門の募集では、メディアワークス文庫賞を受賞することで、日の目を見ることもあります。この賞の最大の特徴は、受賞した作品は必ず出版にこぎつけられるということ。多くの人に読んでもらいたい! という意思を持っている人には大きなチャンスだと思います」(電撃文庫副編集長)
実際、10月に発表される受賞作は、翌年2月以降に必ず出版される。さらにいえば、最終候補まで残れなかった作品でも、担当編集がつき、一緒に作品づくりをして、出版へと繋がるケースも数多くある。
「各編集者の裁量が大きいのも、うちの特徴といえるでしょうね。それぞれが独自に、商品として見極める目を持たせていただいていますので、極端な話、『これはイケる』と一人でも思えば、出版に至るということです。2次で落ちた方はもちろん、過去には、1次で落ちた方の作品の山の中から、編集者が拾い上げて出版に至り、のちにヒット作家になったというケースもあります」(同)
2次以降の作品には、編集部が最初から最後まですべて目を通すという。作品数も増え、さらに選評も書かなければならないので、毎年、編集部の人間にとって春から夏は『読まなければならないものが常にある』状態だというが……。
「時間的には大変ですが、『お宝』を探しているという楽しさはありますね」(同)
では、そんな電撃文庫編集部にとっての『お宝』となり得るために必要なことは、何なのか?

固定概念を捨て、自分ならではの作品を

累計1億冊を超えた「電撃文庫」のコアターゲットは、中高生。
そして、一昨年に生まれた「メディアワークス文庫」は、大人のための新しいエンターテインメントを標榜する作品群。
この公募では、その両方のマーケットにとっての即戦力を求めている。つまり、世代を想定した余計な規制は考える必要がないということだ。
「メディアワークス文庫が生まれたことで、さらにさまざまな才能を持った方がデビューできるようになりました。だからこそ、自分の中で『これは電撃大賞向きじゃない』なんていう規制をかけないでほしい。近年の応募作品を見ても、下は十代前半から上は七十代までと応募者の年齢層は幅広くなっています。七十代の方が日露戦争の戦記物を書いて応募されたりもしていますね。『これをやったらダメ』という禁忌はありませんので、とにかく余計な縛りのない作品を読んでみたいです。どの出口から出すのかは、編集部がしっかり吟味します」(同)
「特定の人たちだけに好まれる世界」という、ライトノベルに対する固定概念は、大人のためのエンターテインメント作品も求めているこの賞に応募するときだけは、捨て去った方が良いのかもしれない。逆に、自由な発想を得意な形で表現するとき、どんなことに気をつければ、編集部の目に留まるチャンスが増えるのか。
「大切なのは、自分の作品の売り、アピールポイントを意識すること。『ここを読んでくれ!』という訴えの強い作品が、毎回残っていきますから。その訴えが、どこか一部にでもあればいい。私たちが隅から隅まで読んで、必ず見つけ出します」(同)

ポイントアドバイス

「読まれること」を常に意識せよ

 門戸を大きく広げている電撃小説大賞の応募作には、自由が多い分だけ、自己満足に終わってしまっている作品も少なくありません。やはり、残って行く作品は、必ず自分以外の「読み手」を意識しているものが多い。「読まれること」を常に意識して作品を作って行く。さらには、作り終えたあとで推敲してみる。これをするとしないでは大きな違いが出ると思います。

フィクションには常に触れておく

ライトノベルの作品を数多く読んでおいた方が、ライトノベルを書きやすいとは思いません。実際、受賞者の中にも「ライトノベルは読まない」という人は少なくない。でも、創作物に触れておくことは大切だと思います。
マンガでも映画でもドラマでもいい。人間が創り上げたフィクションに触れて、常にインスパイアされることは大切です。

選考の流れ(第17回選考時)

応募規定に満たない作品を編集部がチェック。

第1次選考

20 名の第1次選考者(作家、評論家、編集者、盗作チェックの専門家など)に配布。発想、設定、文章力など7項目についてのABC 評価を行ったうえで、総合評価としてA ~ C の三段階評価を下し、総合評価A の551 作品を第1次通過とする。

第2次選考

551 作品を電撃文庫編集部で検討。評価A 作品144 作品を選出。第3次選考へ。

第3次選考

144 作品を電撃文庫編集部で検討。評価A 作品59 作品を選出。第4次選考へ。

第4次選考

59 作品を電撃文庫編集部で検討。ディスカッションの後、上位11 作品を選出。最終選考へ。

最終選考

あらかじめ11 作品を選考委員に読んでいただいた後、選考会場においてディスカッション。入選作品を決定。

 

※本記事は「公募ガイド2011年7月号」の記事を再掲載したものです。

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