文芸公募ニュース 文学賞発表情報
昨年秋頃に締め切った文学賞が、この春、ぞくぞくと発表になっています。
今年の2月までさかのぼり、メジャーな文学賞の結果をお知らせします。
第18回小説現代長編新人賞
応募総数は1163編。塩田武士、中島京子、凪良ゆう、宮内悠介、薬丸岳の5氏の選考により、下記のように受賞作が決まりました。 発表は「小説現代」2024年3月号にて行われています。
大賞
「転びて神は、眼の中に」桜井真城
桜井真城
1979年、岩手県北上市生まれ。明治大学法学部卒業後、会社員をしながら小説を書き始め、出産・育児のため執筆を一時中断、久しぶりに再開させて受賞作を書き上げた。
受賞作は江戸時代初期の奥州を舞台とした時代小説。6月の刊行時にはタイトルを変更予定。
小説現代長編新人賞のOBと言えば、2年前まで選考委員も務めていた朝井まかてさん。桜井真城さんは出産、育児のために小説を書くことを中断されていたそうですが、子育てが一段落し、小説の世界にステップアップしてくる女性がけっこういますね。朝井まかてさんもそうです。桜井真城さんも朝井さんに並び立つ時代小説家になるでしょうか。注目していきましょう。
第15回小説野性時代新人賞
応募総数は614編。冲方丁、辻村深月、道尾秀介、森見登美彦の4氏による選考の結果、下記のように決定しました。
詳細はこちら
(https://awards.kadobun.jp/yaseijidai/announcement/)
受賞作
「海賊忍者」諏訪宗篤
「みずもかえでも」関かおる
最終候補作
「ふくふくいいめし」綿原芹
「多摩川スピードウェイ」彼方出
小説野性時代新人賞は、これまでにない新ジャンルを築きあげるエンターテインメント作品を広く募集する文学賞。選考委員は上記のようにフレッシュな面々。新しい才能の発掘が待望されます。
「小説 野性時代」5月号(2024年4月25日発売予定)に選評が掲載される予定です。
第34回鮎川哲也賞
応募総数は216編。2024年4月2日、青崎有吾、東川篤哉、麻耶雄嵩の3選考委員により最終選考が行われ、下記のように受賞作が決定しました。
詳細はこちら(https://www.tsogen.co.jp/award/ayukawa/)
受賞作
「禁忌の子」山口未桜
山口未桜(やまぐち みお)
1987年兵庫県生まれ。大阪府在住。神戸大学卒業。現在は医師。
最終候補作
「阿弥陀堂の殺人」佐渡翔
「琥珀色の告白」夜来風音
「禁忌の子」山口未桜
「深刻な幽霊不足」綺馬優月
知念実希人、海堂尊、ミステリー作家って本業医師って多いですね。
第13回ポプラ社小説新人賞
応募総数は915編。1次選考で69編通過、2次選考では51編通過。今回は該当作なしでした。
詳細はこちら(https://www.poplar.co.jp/topics/61761.html)
新人賞
該当作なし
奨励賞
「モギサイの夏」志部淳之介
第二の寺地はるなを期待して結果を待っていただけに該当作なしは残念。ポプラ社小説新人賞は、編集部が選考する珍しい文学賞。メフィスト賞もそうですが、小説家とはちょっと違った視点で秀作を目利きします。
それにしても1次で92.5%も落選するんですね。
第129回文學界新人賞
応募総数2120編。青山七恵、阿部和重、金原ひとみ、中村文則、村田沙耶香の5選考委員による最終選考が行われ、受賞作2編が決定しました。
発表は「文學界」2024年5月号で行われます。
受賞作
「私は無人島」旗原理沙子
「日曜日(付随する19枚のパルプ)」福海隆
文學界新人賞といえば、2年前に市川沙央さんの『ハンチバック』を発掘し、同作は昨年の芥川賞も受賞しました。上記の2作も今年の芥川賞の候補作になるんでしょうか。