中村航選 プロットだけ大賞 第5回 入選 幾千の利まで、一休み。
-第5回-
結果発表
お題ログライン
過去から現代にタイムスリップしてきた主人公が、現代での経験によって元の時代で歴史に名前を残す話。
入 選
「幾千の利まで、
一休み。」
高瀬奈々(著)
4.3★★★★★
カテゴリ SF 小説
舞台・世界観
商売がうまくいかず心を病んだ室町時代の堺の商人が、現代のカフェへ。出会った女子高生から『エモい』の意味、『抹茶ラテ』の美味しさ、『ネットカフェ』個室の快適さを教わり、歴史に残る文化を大成する。
登場人物 男(20)
室町時代の堺市に住む商人。簡素な物を好む大人しい性格で、商人仲間の派手な生活も馴れ馴れしさも苦手。着ている袈裟と落ち着いた言動のため実年齢より年上に見える。
「皆の衆が手にする湯呑み!(よく見るとあの人魚の顔が描かれているのは少々不気味だが……)単色の椀を使うのは風流なものだなぁ。中身の良さが際立つぞ」
村田珠光(むらたたまみ)(17)
女性。流行り物が大好きな高校二年生。趣味は放課後に遊ぶ場所を開拓すること。三人姉妹の次女であり、お世話上手で物怖じせず、誰とでも仲良くなれる。
「『エモい』の意味? えーなんか、心にじーんと効いてくる感じ? おじさんにもわかるように言えば……ワサビ食べた時、みたいな!」
ストーリー
第1章
男は堺の商人でありながら、商売が下手で利益を出せない。心を病み、ある日、気晴らしに庭に出た。しかしながら、男は覗き込んだ池から出て来た人魚に引き摺り込まれてしまった。
第2章
男はカフェにいた。とりあえず列に並ぶと、後ろから何度も聞こえる『エモい』という言葉。驚いたことに、発言の主・珠光に言葉の意味を尋ね、それがきっかけで同席することになった。
第3章
勧められた抹茶ラテに感動し、全メニューを注文すると言う男。珠光は『沢山の種類を飲むならドリンクバーが良い』とアドバイス。驚いたことに男は、ハシゴしたネットカフェの簡素な個室で飲んだ抹茶ラテに感涙する。
第4章
落ち着いて静かに飲む抹茶が心を満たすと知った男は、珠光の『わさび』という言葉をヒントに元の世界で『侘び寂び』の概念と『侘び茶』を考案。茶の湯の第一人者として権力者の側近にまで大成した。
中村先生からの一言コメント
「幾千の利まで、一休み」はエモいとわびさびを繋げたところがアイデアとして秀逸だった。
※中村先生の大賞選評全文は
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