地元の飯米で醸した純米大吟醸が快挙!国内外の権威あるコンテストでダブル受賞 - 神奈川・吉川醸造が新たな日本酒の可能性を切り拓く
伊勢原の酒蔵、吉川醸造が手がけた純米大吟醸「雨降 HARUMI 33」が、令和6年東京国税局酒類鑑評会で優等賞、さらにイギリスの権威ある酒類コンテストIWC2024でシルバーメダルを獲得した。注目すべきは、この日本酒が通常の酒米ではなく、地元伊勢原産の飯米「はるみ」を使用している点だ。
飯米による日本酒造りには、いくつもの困難が立ちはだかる。一般的な飯米は酒米と比べて心白が少なく麹菌が根付きにくい上、アミノ酸が豊富なため濁りや雑味が出やすいという特徴がある。さらに、吉川醸造が使用する雨降山の伏流水は硬水で、綺麗な酒質を求められる鑑評会向けの酒造りには不利とされてきた。
しかし、同社は低温でじっくりと発酵を進め、米の旨味を最大限に引き出すことに成功。醪の発酵過程では、飯米特有の粘性の高さや溶解速度の緩やかさに悩まされながらも、杜氏・水野雅則氏の技術によって、これらの課題を見事に克服した。
今回の受賞酒「HARUMI 33」は精米歩合33%まで磨き上げた贅沢な純米大吟醸で、小仕込みによる限定473本の醸造となった。ほぼラベルレスでの特別頒布にもかかわらず即日完売を記録している。
吉川醸造は大正元年創業の老舗酒蔵。2020年にシマダグループの一員となり、伝統と革新を融合させた酒造りに挑戦している。地元の食材と水を活かした今回の挑戦は、フランスワインの「テロワール」の概念にも通じる、新しい日本酒の可能性を示すものとなった。