瀬戸内エリアの工場が、アートの舞台に生まれ変わる。「瀬戸内産業芸術祭」が2026年の第一回開催に先駆け、モニターツアーを実施する。このユニークな取り組みは、国土交通省の「レガシー形成事業」の一環として行われ、地域の産業と芸術を融合させた新たな観光資源の創出を目指している。

2025年1月29日から31日にかけて行われるモニターツアーでは、ナイカイ塩業、宮原製作所、パワーエックスの3社が参画。各社の工場を「美術館」として再構築し、産業現場とアーティストが協力して、ものづくりの知恵や思想を芸術作品として表現する。

例えば、ナイカイ塩業では「食塩の純度に触れる」をテーマに、アーティスト山本基が塩を用いたインスタレーション作品を制作。宮原製作所では「舶用エンジンの精度を体感する」をテーマに、デザインオフィスSYMBOL+が空間デザインを手がける。パワーエックスでは「電気と蓄電の可視化」をテーマに、特別アートユニットSAIが目に見えない電気を可視化する作品を展示する。

この取り組みは、単なる観光イベントにとどまらない。参加企業にとっては、自社の価値観や技術力を広く発信し、地域社会への貢献を強化する機会となる。また、産業の魅力発信により、新たな人材の採用や地元振興にもつながることが期待されている。

瀬戸内産業芸術祭は、造船、石材業、鉄鋼業、食文化など、瀬戸内地域に根付く多様な産業を非日常の視点で捉え直す試みだ。工場を美術館に変える斬新な発想により、訪問者に新たな発見をもたらすとともに、地域の持続可能な発展と文化的価値の創造を目指している。

2026年の正式開催に向けて、このモニターツアーで得られた知見やフィードバックを活かし、内容のさらなる充実が図られる予定だ。瀬戸内の産業と芸術が融合する新たな観光体験に、今から期待が高まる。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000129.000109041.html