あなたとよむ短歌 vol.59 テーマ詠「アニメ」結果発表 ～題詠は最初のイメージを捨てる～（2/3)
それでは、佳作5首のご紹介です！
ワンピース老後の楽しみ取って置くだから私に話しかけるな
（おしぼりさん）
超人気漫画の『ONE PIECE』。単行本は110巻を越え、アニメもずっと続いています。話を一切知らないまま老後まですごすのは難しそう。それにしても「だから私に話しかけるな」は、唐突にキレていて笑ってしまいます。『ONE PIECE』語りを延々とする相手をとにかく黙らせたかったのかも。
ミュージックビデオのアニメ見ませんかロコモコとほぼ同じ色味の
（反時計さん）
ロコモコの色味を読者に想像させることができている時点で「勝ち」な短歌だと思いました。こんなことを言われたら見たくなりますね。音楽もアニメも頭に入らず、ロコモコのことをひたすら考えてしまいそうです。
ケチャップでアンパンマンの顔を描くあんこじゃなくてごめんなさいね
（チャーミーさん）
子どものオムレツやオムライスに、ケチャップでアンパンマンを描く光景自体はよくありそうですが「あんこじゃなくてごめんなさいね」にびっくりします。これはアンパンマンに謝っているのでしょうか。育児をしていると、アンパンマンはまるで実在する育児仲間のような気持ちになりますよね。
違和感は最初だけだよ声優が変わるみたいに後任が来る
（真朱さん）
この一首の面白いところは、アニメではない、何か別の話をしている点。声優が変わるみたいに（何かの）後任がくる。最初は違和感があってもいつの間にか慣れてしまうのでしょう。もし自分が去る立場だったとしてもきっと同じです。多くの仕事において人間は代替可能です。
ドラゴンは四畳半では育たないだからアニメで成長を見る
（夏風かをるさん）
「四畳半」という表記から、なんとなく畳の部屋を想像します。四畳半の畳部屋はドラゴンには窮屈でしょう。アニメなら空を羽ばたき、火を吹き、冒険に出られますね。小さな画面ごしにドラゴンを育てて一緒に旅をすることができる、アニメの持つチカラを感じさせる短歌です。