写真家・石川直樹が捉えた「飛鳥・藤原」の息吹!2年の歳月をかけた渾身の写真集が発売
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奈良県の世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原」。その魅力を余すところなく伝える写真集が、2025年3月3日に発売される。写真家・石川直樹氏が2年の歳月をかけて撮り下ろした『飛鳥|藤原』だ。
本書は、6世紀末から8世紀初めにかけての約100年間、日本の国家体制が形成された重要な場所を捉えている。石川氏は、ヒマラヤ登山の合間を縫って現地を訪れ、山奥深くまで分け入りながら撮影を重ねた。その視点は、宮都の史跡だけでなく、まちに残る不思議な石や豊富な水源、地元の祭祀にまで及ぶ。
特筆すべきは、失われつつある民俗の記録だ。人口減少などの影響で、すでに行われなくなった祭祀や消えゆく風景、由来が不明になりつつある史跡が数多く収められている。これは、石川氏の写真家としての矜持が光る部分と言えるだろう。
本書の魅力はビジュアルだけにとどまらない。巻末には奈良県世界遺産室による各写真の解説が掲載されており、遺跡や風景の背景を知ることで、写真の見え方が変わってくる。また、古代ローマ史の大家・青柳正規氏や東アジア考古学の専門家・山田隆文氏による解説も収録。「飛鳥・藤原」の考古学的価値がわかりやすく語られている。
さらに、散策に便利な地図と年表が付録として付いているのも嬉しいポイントだ。現地を訪れたくなった読者にとって、貴重な資料となるだろう。また、すべてのテキストに英文が併記されているため、外国人観光客にも優しい仕様となっている。
刊行を記念して、京都と東京でスライドトークショーも開催される。2月24日には恵文社一乗寺店(京都市)で、3月7日には代官山蔦屋書店(東京都)でイベントが行われる予定だ。いずれも会場とオンラインのハイブリッド形式で、参加は無料(東京は写真集購入者限定)。先着順なので、興味のある方は早めに申し込むことをおすすめする。
歴史のダイナミズムと市井の人々の営みを両立させた本書。「飛鳥・藤原」の魅力を存分に味わえる一冊となっている。歴史ファンはもちろん、写真愛好家にとっても見逃せない一冊と言えるだろう。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000142065.html