直木賞候補作家が快挙!荻堂顕『飽くなき地景』が吉川英治文学新人賞を受賞


新進気鋭の作家、荻堂顕の最新作『飽くなき地景』が、第46回吉川英治文学新人賞を受賞した。KADOKAWAから2024年10月に刊行されたこの作品は、既に第172回直木三十五賞の候補作にも選出されており、文壇で大きな注目を集めている。
『飽くなき地景』は、激動の時代を生き抜いた主人公・治道の人生を一人称で描いた野心作だ。土地開発と不動産事業で成り上がった昭和の旧華族、烏丸家の嫡男として生まれた治道が、家業よりも宝刀「無銘」に魅せられていく様子が描かれる。オリンピックや高度経済成長期の東京を舞台に、刀にまつわる事件と家族の秘密が絡み合う、美と血のノワール小説となっている。
30歳の若さで60代の主人公の心境を描き切った荻堂氏は、受賞の喜びを語るコメントで「大きな挑戦だった」と述べている。この経験を糧に、さらなる創作活動に邁進する意欲を見せた。
吉川英治文学新人賞は、毎年1月から12月までに発表された小説の中から、最も将来性のある新人作家を選出する権威ある賞だ。過去の受賞者には藤岡陽子、蝉谷めぐ実、加藤シゲアキなど、今や文壇を牽引する作家たちの名前が並ぶ。
荻堂氏は1994年生まれの31歳。早稲田大学卒業後、様々な職業を経験しながら執筆活動を続け、2020年に新潮ミステリー大賞を受賞してデビューした。その後も着実にキャリアを重ね、今回の受賞に至った。
『飽くなき地景』は、刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く意欲作だ。変貌する東京の景色を背景に、無銘の刀が引き起こす悲劇と相克が描かれる。文学賞受賞を機に、さらなる読者層の拡大が期待される。
贈呈式は4月11日に予定されており、文学界の注目が集まっている。若手作家の台頭が目覚ましい昨今、荻堂顕の今後の活躍にも大きな期待が寄せられている。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000016563.000007006.html