映画好きなのに映画館に行けない。そんな働く女性の悩みを可視化する「観たいのに観れなかった映画賞」の第3回結果が発表された。NPO法人映画業界で働く女性を守る会（swfi）が主催するこの独特な映画賞には、367名もの女性が投票。その結果、成島出監督の「52ヘルツのクジラたち」が見事1位に輝いた。

この映画賞の特徴は、単なるランキングではなく、働く女性たちの生の声を集めている点だ。「どういった状況であれば映画館に行けたか」という質問には、「時間的余裕があれば」「子どもの預け先があれば」といった回答が目立つ。これらの声は、現代の働く女性が直面する時間的制約や育児の課題を如実に物語っている。

さらに興味深いのは、この賞を通じて浮き彫りになる映画業界の課題だ。映画が好きで業界に入ったのに、忙しくて映画を観る時間がないという皮肉な状況。これは単に個人の問題ではなく、業界全体の労働環境の問題を示唆している。

swfiの目標は、すべての働く女性が年に1回は映画館で映画を楽しめる環境作り。そして究極的には、この「観たいのに観れなかった映画賞」自体が不要になることだ。これは、働く女性の映画館離れに歯止めをかけ、映画業界全体の活性化にもつながる重要な取り組みと言える。

この映画賞は、エンターテインメントの枠を超えて、働く女性の労働環境や映画業界の課題に光を当てる貴重な取り組みだ。今後、この活動がどのように映画業界や社会に影響を与えていくのか、注目が集まりそうだ。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000155718.html