17歳の介護と文学 - 京都芸術大学生が描く『救われてんじゃねえよ』が話題沸騰中


京都芸術大学大学院在籍中の上村裕香さんが、第21回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞を受賞した小説『救われてんじゃねえよ』が、4月16日に新潮社から発売された。この作品は、難病の母を介護しながら高校に通う17歳の少女・沙智の物語を描いており、選考委員から絶賛を浴びた注目の一冊だ。
上村さんは、18歳で文芸創作を学べる大学の存在を知り、作家になる夢を追いかけて京都での一人暮らしを始めた。京都芸術大学の文芸表現学科で学び、仲間たちと深夜まで小説について語り合う日々を過ごした。その経験が、彼女の創作の根幹となっている。
『救われてんじゃねえよ』は、主人公の沙智が母の排泄介助をしていると言ったら、担任の先生に大げさなほど同情されるという場面から始まる。「わたしは不幸自慢スカウターで言えば結構戦闘力高めなんだと思う」という沙智の言葉が印象的だ。この作品は、苦悩と葛藤、そして予想外の救いを描いており、読者の心に深く響くことだろう。
上村さんは出版に際して、「多くの方々のお力添えをいただき、初の単行本ができました」と喜びを語る一方で、「ちょっぴり怖さもあります」と率直な心境を明かしている。しかし、その怖さはわずか3%で、97%はワクワクしているという。
京都芸術大学の「文芸表現学科 クリエイティブ・ライティングコース」は、文芸を「社会で生かす」ことを重視した実践的なカリキュラムが特徴だ。小説家、脚本家、ライター、編集者など、「ことばのプロ」としての可能性を広げることを目指している。
上村さんの活躍は、京都芸術大学の教育理念である「藝術立国」を体現するものといえるだろう。芸術を通して社会で必要な力を育成し、学生たちがアート・デザインの力で社会課題を解決する「社会実装プロジェクト」にも力を入れている。
『救われてんじゃねえよ』は、書籍・電子書籍で1,540円(税込)。若き才能の登場に、文学界も注目している。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000536.000026069.html