戦後日本の象徴的プロジェクト、皇居「新宮殿」の造営を描いた松家仁之氏の新作長篇小説『天使も踏むを畏れるところ』が、2025年3月26日に新潮社から刊行される。読売文学賞受賞作『火山のふもとで』で知られる著者が、戦後から高度成長期にかけての日本社会と皇室の変遷を背景に、建築家たちの挑戦と葛藤を描き出す注目の一冊だ。

本作は、1945年5月の空襲で焼失した明治宮殿に代わる新宮殿の造営プロジェクトを軸に展開する。主人公の建築家・村井俊輔を中心に、建設省や宮内庁の関係者、皇族に仕える人々など、多様な視点から物語が紡がれていく。著者は「百年に一度あるかないかの国家的プロジェクト」の舞台裏を、緻密な取材と豊かな想像力で再現している。

刊行を記念して、東京都内の書店で2つのトークイベントが開催される。3月29日には紀伊國屋書店新宿本店で建築家の堀部安嗣氏を迎え、4月22日にはジュンク堂書店池袋本店で名古屋大学大学院准教授の河西秀哉氏を招いてのトークが予定されている。両イベントとも著者のサイン会も実施される。

松家氏は本作について「プロジェクトの推移を人物の視点を変えながら見ていくことで、できるだけすみずみまで描いてみたい」と意気込みを語っている。戦後日本の転換期を背景に、理想の建築をめぐる人間ドラマが繰り広げられる本作は、歴史小説ファンはもちろん、建築や皇室に興味を持つ読者にも強く訴求するだろう。

『天使も踏むを畏れるところ』は上下巻セットで、各巻552ページ、価格は各2,970円（税込）。小説を通じて日本の近現代史を新たな視点から捉え直す機会として、多くの読者の期待を集めている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001957.000047877.html