「命をつなぐ」内密出産の現実:KAB熊本朝日放送のドキュメンタリーが放送文化基金賞を受賞


放送界の権威ある賞として知られる第51回放送文化基金賞で、KAB熊本朝日放送の「いのち つないで」がドキュメンタリー部門の奨励賞を受賞した。全国から寄せられた282件の応募や推薦の中から選ばれた栄誉ある作品の一つだ。
この番組は、熊本市の慈恵病院が2021年に実施した国内初の「内密出産」を取り上げている。「内密出産」とは、予期せぬ妊娠で悩む女性が病院以外に身元を明かさずに出産できる仕組みだ。危険な孤立出産や乳児遺棄を防ぐことを目的としているが、日本では法制化されていない。
審査員からは「女性だけに出産のリスクを負わせる社会であってはならない」という強いメッセージが評価された。番組ディレクターの大野健太郎氏は、「社会全体が向き合っていかなければならないテーマ」と語り、この問題への理解を深めることの重要性を訴えている。
番組では、内密出産を選択した当事者の声や、慈恵病院が費用を全額負担しながら綱渡りの運用を続ける様子が描かれている。予期せぬ妊娠に悩む女性たちのSOSに応え続ける病院の姿勢と、その背景にある社会問題に迫る内容となっている。
「いのち つないで」は、ナレーションにサヘル・ローズを起用し、KAB公式ニュースYouTubeチャンネルやTVerで配信されている。命の尊さと社会の在り方を問いかけるこの作品は、多くの視聴者の心に響き、重要な社会的議論を喚起している。
放送文化基金賞の受賞を機に、この番組がさらに多くの人々の目に触れ、内密出産や予期せぬ妊娠の問題について、社会全体で考える契機となることが期待される。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000085285.html