岐阜県高山市の伝統工芸「飛騨春慶塗」が、新たな形で世界に羽ばたく。2025年5月28日、大阪・関西万博の会場で行われた読売新聞社主催のステージイベント「饗宴！匠が演じる日本美の世界」に、「飛騨春慶ネイル倶楽部」が出演を果たした。

約400年の歴史を持つ飛騨春慶塗。その伝統技法を現代的にアレンジした「飛騨春慶ネイル」は、漆の艶やかな透明感をネイルアートで表現。ステージでは、この斬新なネイルアートを施したパフォーマーが自由に舞い、伝統産業の新たな可能性を観客に披露した。

舞台装飾にも工夫が凝らされ、江戸時代から続く「飛騨染」が使用された。高山祭の豪華絢爛な祭衣装を彷彿とさせる装飾は、開放的な舞台に華を添えた。さらに、20代の若手カメラマンやサウンドクリエイター、モデルなど、地元飛騨で活動する若者たちが演出に参加。伝統と革新が融合した魅力的なステージとなった。

観覧者からは「飛騨春慶を知らなかったけれど、本当に感動した」「世界デビューへの第一歩ですね」など、称賛の声が多く寄せられた。この挑戦は、ネイルと工芸の融合によって初めて実現したものだ。

飛騨春慶ネイル倶楽部の代表、村井育恵氏は「60代の伝統工芸士から20代のクリエイターまで、世代や職業を超えてリスペクトし合える関係性が私たちの強み」と語る。伝統工芸の厳しい現状に危機感を抱いた若者たちが、異分野の仲間と出会い、このプロジェクトを立ち上げた。

「飛騨春慶ネイル」は、漆の色彩・艶・透明感を活かしたネイルデザインで、工芸品を"纏う"という新しい価値を提案している。伝統工芸士とネイルデザイナーが共同で監修し、手仕事の温もりと日常的なスタイル性を両立させた革新的なプロジェクトだ。

高山市は、この貴重な機会が地域の工芸品にとって新たな歴史の一歩となることを期待している。今後も地域資源を活かした文化発信や若い世代の挑戦を積極的に支援していく方針だ。伝統と革新が融合する「飛騨春慶ネイル」の今後の展開に、注目が集まっている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000257.000124925.html