日比野克彦の60年の軌跡を辿る大規模展、水戸芸術館で開催 - 「ひとり」から「だれかと」へ


水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、2025年7月19日から10月5日まで、「日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで」展が開催される。本展は、日本を代表するアーティスト・日比野克彦の60年以上にわたる活動の変遷を、170点以上の作品を通して辿る大規模な個展だ。
1958年岐阜市生まれの日比野は、1980年代にダンボールを素材にした作品でイラストレーションの概念を拡張し、一躍時代の寵児となった。その後、90年代には自らと向き合い、2000年代には関係性を探求するアートプロジェクトへと活動の幅を広げてきた。現在は東京藝術大学長や岐阜県美術館館長など、多方面で活躍している。
展覧会のタイトルにある「ひとり橋の上に立って」は、日比野が幼少期に橋の上で初めて「ひとり」を実感した経験を指す。そして「だれかと舟で繰り出す」は、絵を描くことで他者とのコミュニケーションを求める姿勢を表現している。本展では、この「ひとり」から「だれかと」へという変遷を軸に、日比野の芸術実践を多角的に紹介する。
展示の特徴として、日比野の手つきや振る舞いに着目し、形として残らない活動も含めて彼の芸術実践の本質に迫る。また、関係者へのインタビューをもとに制作された絵本や漫画を通じて、日比野のプロジェクトの醍醐味を伝える工夫も施されている。
関連プログラムも充実しており、アーティスト・トークや公開制作、ワークショップ「on the bridge」、「明後日朝顔プロジェクト2025 水戸」、「HIBINO CUP」など、多彩なイベントが用意されている。これらを通じて、観客は日比野の創造性に直接触れる機会を得られるだろう。
日比野克彦の芸術は、個人の表現から社会とのつながりへと広がり、多様性を受け入れる現代社会のあり方を示唆している。本展は、アートを通じて人々がつながる可能性を探る貴重な機会となりそうだ。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000150724.html