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奈良の木と対話する彫刻家、安藤榮作の魂の軌跡 - 震災を乗り越え、吉野の木に新たな生命を吹き込む

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報道発表
安藤榮作 《うずくまる自由》 2023年 作家蔵                  撮影:木奥惠三(プレスリリースより)

奈良県立美術館が、地元奈良を拠点に活動する彫刻家・安藤榮作の初の大規模個展「奈良ゆかりの現代作家展 安藤榮作 ー約束の船ー」を2025年9月13日から11月16日まで開催する。東日本大震災で被災し、奈良に避難移住してきた安藤の、約15年間の創作の軌跡を辿る貴重な機会となる。

安藤榮作は、2011年の震災で自宅やアトリエ、作品を失ったが、奈良の豊かな木材資源に出会い、新たな創作の道を切り開いた。吉野のヒノキをはじめとする奈良の樹木を、手斧で丹念に叩き刻む独特の技法で作品を生み出している。

本展では、代表作《鳳凰》(2016年)や《福島原発爆発ドローイング》(2013年~2019年)、そして本展のために制作された新作インスタレーション《約束の船.2025》(2025年)など、奈良移住後の作品群を中心に展示。安藤の芸術世界の核心に迫る。

展覧会の特徴として、完成作品の展示だけでなく、公開アトリエでの制作風景も見られる点が挙げられる。会期中、作家自身が不定期に来館し作品制作を行うため、展示内容が日々変化していく。また、安藤本人による斧を振るうパフォーマンスと、ピアノや歌とのコラボレーションイベントも予定されており、作家の創作プロセスを間近で体感できる。

さらに、安藤の作品をより深く理解するための関連展示も充実。奈良県立民俗博物館による「吉野林業の世界」展示では、重要有形民俗文化財「吉野林業用具と林産加工用具」などを紹介し、安藤の創作を支える地域の林業文化に光を当てる。また、白髪一雄や田中敦子ら、戦後日本で作品制作の「行為」を重視した作家たちの作品も特集展示される。

震災の痛みを乗り越え、奈良の木々と対話しながら生み出される安藤榮作の作品群。その圧倒的な存在感と、木を刻む行為に込められた魂の叫びを、ぜひ会場で体感してほしい。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000298.000142065.html