11/11更新 「おざなり」と「なおざり」、「エシャレット」と「エシャロット」はどう違う? 【わずかな違いを判別 見分ける君】


判別1似た言葉の区別
世の中には似た言葉がたくさんあり、何が違うのか、どうして同じ言葉が共存しているのかなんて思います。今回はそんな言葉を区別し、さらにWEB版限定で「実は同じ」と「実は別もの」を紹介します。
おざなり と なおざり
おざなりの語源は「御座形」。その場しのぎの不十分な対応(一応、行動はしている)。
なおざりの有力な語源の一つは「なおせざり」。注意を払わず放置の状態(対応していない)。
「おざなり」な態度をとられるのは嫌だが、「なおざり」にされるよりかはいくぶんまし。
せろん と よろん
世論(せろん)は世間一般の感情や空気のこと。
與論(よろん)は議論に基づく建設的な意見のこと。
かつては区別されていたが、「與」の字(「与」の旧字、「輿」や「興」とも違う)が1946年に、常用漢字の前身である当用漢字から外れてしまい、新聞等で使えなくなったため、世論でせろん、よろん両方読むようになった。
ある時期までは「せろん」と言う人も多かったが、しかし現在、「よろん」と読む人は73.8%、「せろん」と読む人は18.9%で、7割以上が「よろん」と言っている(文化庁平成15年度「国語に関する世論調査」)。
スペアキーと合鍵
スペアキーは鍵の製造元が作った純正キー(メーカー名と鍵番号がある)。
合鍵は鍵屋さんが複製したもの。
はんこと印鑑
はんこは手に持って押す印本体を指す言葉。
印鑑は登録された印影のこと。
はんこは押せるが、印鑑は押せない。
判別2実は同じ
「これって何が違うんだ」と思って調べたら、なんと同じものだったというものを紹介しよう!
オマール海老とロブスター
オマール海老というと西洋料理にでてくる海老で、ロブスターはアメリカの料理という印象もある。
実際、市場には「ヨーロピアン・オマール」と「アメリカン・ロブスター」の2種類がある。
しかし、呼び方が違うだけで、オマール海老とロブスターは同じものだ。
ウコンとターメリック
ウコンは漢方薬で、ターメリックはスパイスという印象がある。
ウコンはショウガ科ウコン属の多年草で、50種類以上もあるウコンの総称。
ウコンには春ウコンと秋ウコンがあり、春ウコンは苦みがあって料理には向かないため、健康食品になることが多い。
一方、秋ウコンはターメリックと呼ばれ、その根茎を乾燥、粉末にしたものがカレーのスパイスのターメリック。
厳密には同じではないが、植物としては同じだ。
パクチーと香菜とコリアンダー
パクチーはタイ料理、香菜は中華料理、コリアンダーはスパイスという印象だが、すべて同じもの。
植物としてはセリ科コエンドロ属の一年草であり、タイ語ではパクチー、中国語では香菜(シャンツァイ)と言う。
いずれも葉や茎を使うが、この種を乾燥、粉末にしたのがコリアンダー。
判別3実は別もの
逆に、違うんかい!という似て非なるものも紹介しよう。
菜の花と菜花
「菜の花」を省略して言ったのが「菜花」のような気がするが……。
「菜(な)」とは、葉・茎などを食用とする草本類の総称。
「菜の花」はアブラナ科の植物に咲く黄色い花全般の総称であり、特定の品種ではない。
一方、菜の花などのつぼみと花茎、若葉を「菜花」と言い、市販されているものは食用に改良された品種のこと。「菜の花」は総称、「菜花」は品種。
エシャレットとエシャロット
エシャレットは、白い部分が多くなるように栽培した若採りのらっきょう。主に茎の部分が食用となり、味噌やマヨネーズをつけて食べることが多い。
エシャロットは玉ねぎの変種。生食にも加熱調理にも適し、ソテー、煮込み料理、スープ、ソースに使ったり、サラダやサンドイッチにも使う。
エシャレットとエシャロットは、長細いらっきょうか、玉ねぎかだから見た目では間違わないが、「エシャレットをください」と言ったら、「エシャロットが出てきた」ということは十分にあり得る。