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せきしろの自由律俳句 第105回「出会い」結果発表 (2/3)

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結果発表

 

結果発表

第 105回 課題: 出会い

 

 

佳作

教科書読み流す手を止める一句
 (茨城県 朱蔵日月 22歳)

着ぐるみと対面し児が泣き喚く
 (神奈川県 ななみん 25歳)

窓越しの犬に微笑まれる信号待ち
 (北海道 エリンギ 38歳)

コンビニで見かける人の採血をする
 (茨城県 ひとまかせ 56歳)

だれかと出会うことを期待してイオン
 (兵庫県 田中 佳 41歳)

まだ名前付けてはいけない
 (群馬県 伊藤どらやき 51歳)

あ行とか行の友達に囲まれて春
 (大阪府 石川かるた 51歳)

疎遠の春を行く
 (東京都 白鳥 37歳)

秋風とぶつかる風鈴
 (岐阜県 場外 55歳)

三度目だがはじめましての振舞い
 (神奈川県 紺屋小町 46歳)

忘れたり思い出したりして生きる
 (兵庫県 梅ふふむ 45歳)

同じ日に体操着を忘れただけ
 (北海道 ぶんぶん丸 19歳)

本に挟んだまま領収書は十年前の丸善
 (千葉県 ような恵 28歳)

卒アルで顔を確認してから会う
 (福島県 きりんのき 23歳)

犬から先に仲良くなった
 (東京都 水面叩 34歳)

まだ似ていない似顔絵が笑う
 (岡山県 白とり貝 35歳)

一瞬だけ並走するJRと私鉄電車
 (福岡県 貝 46歳)

新しい顔と四月の駅
 (東京都 稲葉智子 46歳)

今日の出会いを話す人がいない
 (北海道 下小路智之 49歳)

春一番でぶっ叩かれたように出会った
 (神奈川県 Akiki 60歳)

ぬいぐるみ見つめる赤信号
 (長崎県 毎日ハッピー 45歳)

 

今月の総評

教科書読み流す手を止める一句
私は中学生の時に正岡子規の句でこの状態になった。あれからかなりの年月が経ったが、いつかこういう状態に誰かをしたい。

着ぐるみと対面し児が泣き喚く』
着ぐるみを怖いと思ってしまう感覚はよくわかる。特に子どもの頃はそうだった。着ぐるみとは違うがなまはげなどの行事でも泣き喚くのを見たことがある。

窓越しの犬に微笑まれる信号待ち
ぬいぐるみ見つめる赤信号
どちらも信号待ちの句だ。犬との出会いとぬいぐるみとの出会い。

コンビニで見かける人の採血をする
コンビニで出会っていた人との別の場所での出会い。この前居酒屋で通っている歯医者さんに会い、一瞬どう振舞えばいいのか迷ったことを思い出した。


だれかと出会うことを期待してイオン
自分の頃は「ジャスコ」だったり「サティ」だったり「ダイエー」だったり「イトーヨーカドー」だったりして、「イオン」は最近の新しい場所と思っていたが、いつの間にかイオンが原風景になっている人が増えていて時を感じる。

まだ名前付けてはいけない
例えば猫に出会う。何度か出会う。その猫はどこかの家の猫かもしれないし、野良猫かもしれない。わからないから、まだ名前を付けてはいけない。

あ行とか行の友達に囲まれて春
あ行から並んだ新学期の教室。わたしは「せ」だったのでいつも3列目くらいだった。

疎遠の春を行く
かっこいい句だ。

秋風とぶつかる風鈴
風鈴にとっては風と言えば夏の風だと思っているが、やがて秋の風と出会った。

三度目だがはじめましての振舞い
相手が覚えてくれないのか、こっちが覚えていないふりをしているのか。まだ初々しさを残しておきたいのか。

忘れたり思い出したりして生きる
まさにその通り。「忘れたり」が最初にあるのが良い。

同じ日に体操着を忘れただけ
そんな些細なことが出会いになる。

本に挟んだまま領収書は十年前の丸善
時を越えた出会い。
 

 

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