公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

生成AIが「5本指」を目指す裏で排除される声――ドキュメンタリー『AIが消し去る声』がベルリン国際映画祭で最優秀監督賞

タグ
論文・評論
映像・映画・ショートフィルム
報道発表
プレスリリースより

アーティスト窪田望が監督を務めるドキュメンタリー作品『AIが消し去る声』が、ドイツで開催されたBerlin Indie Film Festivalのショートドキュメンタリー部門において、最優秀監督賞を受賞した。本作は、生成AIが「5本指」を正常とみなし修正する過程で、生まれつき5本指ではない人々の存在が無視される構造に光を当てた作品である。

作品では、裂手症の当事者やその家族、医療従事者への取材を通じて、AI社会の背後にある分類の暴力性を浮かび上がらせている。生成AIの現場では、5本指にならない画像が頻繁に話題となり、エンジニアは大量のGPUや電気代を使ってこれを修正する。しかし窪田監督は「その行為は単なるエラー修正なのか。そこには排斥されているマイノリティの暮らしがあるのではないか」と問いかけた。

本作は今回の受賞で、国際映画祭・国際アートアワードにおいて5つ目の受賞となる。これまでにアメリカのハリウッドやニューヨーク、タイ・日本、インドの映画祭でも最優秀賞や部門賞を獲得してきた。国際的な評価を受ける一方で、日本国内でも東京ドキュメンタリー映画祭での上映や、AI BB TOKYO 2025での特別上映とトークイベントを開催するなど、精力的に活動を展開している。

特別上映後のトークイベントでは、「AIに何を教え、何を教えないべきか」「そもそも私たちは倫理的な態度を取ることができるのか」といった問いが投げかけられ、鑑賞者との間で緊張感のあるディスカッションが行われた。裂手症の当事者であるインフルエンサーのすらいむ氏やNPO法人Hand&Foot代表理事の浅原ゆき氏も登壇し、「いなかったことにされてしまう恐ろしさ」について語った。誰かを積極的に排除するのではなく、最初から存在しなかったことにする構造こそが、現在のAI社会の根幹にあるのではないかという問題提起がなされた。

窪田監督は、AIの社会実装事業を推進する企業の経営者でもあり、国内外に20のAI特許を持つ。20年来データ解析やAI技術を研究してきた経験から、AI開発の現場で「外れ値」として排除されるデータに着目し、「外れ値の咆哮」をコンセプトに作品制作を行っている。社会の中で不要とされてきた外れ値の価値を再評価し、本質的価値を浮き上がらせる表現を追求する姿勢が、国際的な評価につながっている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000086.000038825.html