言葉を失った青年が拳で語る――岩井圭也の最新作『拳の声が聞こえるか』が3月18日発売


『永遠についての証明』で鮮烈なデビューを飾り、SF、ミステリ、歴史小説と多彩なジャンルを手がけてきた作家・岩井圭也氏の最新作『拳の声が聞こえるか』が、2026年3月18日に発売される。今回、著者が選んだ舞台はボクシングのリング。言葉によるコミュニケーションが苦手な青年が、拳を通じて他者と繋がり、自らの声を獲得していく姿を描いた青春小説だ。
主人公の五十嵐遼馬は、昔から会話が上手くできない青年である。話そうとすると喉に鍵が掛かったように言葉に詰まってしまい、想いは胸の底で燻り続けていた。地元を離れ、東京で影のように暮らしていた遼馬だったが、ある日仕事帰りに通りかかった須郷ボクシングジムの熱気に引き寄せられ、そのまま入会することになる。
当初は孤独を埋めるためにジムに通っていた遼馬だが、トレーナーの高矢明から「ボクシングは対話だ」という言葉を教わり、開眼する。リングでの駆け引きを通じて、自らの拳に込めた想いを主張する喜びに目覚めた遼馬は、プロボクサーとしての道を歩み始めた。そんな彼の前に立ちはだかるのが、悪霊を背負うタイ人ボクサー、サクチャイ・プラガヤットである。言葉も国境も超え、互いの存在を懸けて激突する二人の拳が描かれる。
岩井氏は著者コメントで「言葉によるコミュニケーションが主流の時代に、言葉ではない対話の形を描きたいと思った」と語っている。永遠にわかりあえないかもしれないが、それでも理解しようと試みる姿を描いた本作は、読み終えた瞬間に胸に熱い何かが込み上げる魂の拳闘小説となっている。定価は2,100円(税込)で、新潮社より刊行される。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002644.000047877.html