大川小津波事故15年―大学生がAI技術で問い直す震災の記憶


東日本大震災から15年、変わりゆく社会の関心
東日本大震災から15年が経過しようとする今、震災に対する社会の関心は時の経過とともに変化しつつあります。公益社団法人3.11メモリアルネットワークの調査によれば、東北3県にある震災関連の伝承施設の来訪者数は年々減少傾向にあります。こうした社会課題を背景に、東京工芸大学芸術学部インタラクティブメディア学科のアート&メディア研究室に所属する学生8名が、東日本大震災で起きた大川小学校の津波事故をめぐる多様な語りや表現活動を見つめ直すプロジェクトを企画しました。
学生たちが1年かけて取り組む「語りにくさ」の解きほぐし
震災当時は幼く、直接の記憶をほとんど持たない大学生たちが約1年をかけて東日本大震災について学び、考え、向き合ってきました。ニュースをはじめ映画、書籍など多様なメディアで描かれている震災を多角的な角度から俯瞰し、学生同士でディスカッションを重ねています。また宮城県仙台市、南三陸町、気仙沼市、石巻市、福島県双葉町などの震災遺構や伝承館、被災校などを実際に訪れ、フィールドワークを行い、地域住民との対話を通じて理解を深めました。このプロジェクトでは、大川小学校をめぐる「語りにくさ」を解きほぐすとともに、多層的・多声的な記憶や語りのあり方を提示し、困難な遺産(Difficult Heritage)をどのように未来の知恵へとつないでいくかを模索しています。
AI技術で壁画を復元、来場者が参加する映像インスタレーション
学生たちが制作した作品は「記憶と選択」と「拓く」の2つです。「記憶と選択」は、「もし自分がこの街に住んでいたら?」という問いを出発点に、来場者が宮城県石巻市の「住民」として参加するインタラクティブ作品です。鑑賞者は外側から眺める存在ではなく、当事者として状況に向き合い、選択を重ねていくことで、災害の事前準備から災害発生までを疑似体験できます。「拓く」は、大川小学校の壁画を実寸高で投影する参加型映像インスタレーション作品です。AI技術などを用いて、風化が進む壁画を完成当時の姿へ再現し、来場者は壁画を「修復する」体験を通じて、震災の記憶や言葉と向き合い、未来への願いを共に育む場を創出します。
2026年3月22日まで開催、イベントも充実
企画展「語りにくさを語るー大川小をめぐる15年の対話」は、2026年3月10日(火)から22日(日)まで、東京工芸大学中野キャンパス6号館で開催されます。会場はB1階、1階、2階で、開館時間は11:00~18:00(土・日・祝日は19:00まで)。入場料は無料です。展示は、大川小学校に関する伝承活動や表現活動に焦点を当てた作品、関連するアーカイブ展示も行っています。会期中には、本研究室の学生によるギャラリーツアーをはじめ、トークショーやワークショップなどのイベントが予定されており、3月21日(土)には学生によるギャラリーツアーが開催されます。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000074798.html