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生きづらさの原因は性格ではなく「小児期逆境体験」にあった

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報道発表
プレスリリースより

性格のせいじゃない。生きづらさの根源を科学が解き明かす

仕事が続かない、人間関係でつまずく——こうした「生きづらさ」は、あなたの性格や意志の弱さのせいではない。2026年3月19日にKADOKAWAから発売される『大人になっても消えない重荷を抱える人のための 生きづらさの手放し方』は、その根源が虐待や貧困などの「小児期逆境体験(ACEs)」にあることを科学的に解き明かしている。

ACEs(Adverse Childhood Experiences)は、1990年代のアメリカの大規模追跡調査によって見出された概念である。研究のきっかけは、ある肥満治療プログラムでの奇妙な現象だった。順調に減量に成功していた患者たちが、なぜか自ら治療から脱落していったのである。詳細な調査の結果、脱落者の多くが幼少期に深刻なトラウマを抱えていたことが判明した。彼らにとって「肥満」は、性的・身体的な脅威から身を守るための無意識の「鎧」として機能していたのだ。

ACEsスコアが高いほど健康と人生が脅かされる

この研究は、子ども時代の10種類の逆境体験が、数十年経って大人になってからの健康状態に直結することを示した。ACEsスコアが高いほど、うつ病や心疾患のリスクが跳ね上がるだけでなく、最終学歴や生涯収入といった「社会的な成功」にまで多大な悪影響を及ぼすことが統計的に証明されている。これは単なる「つらい思い出」の領域を超えた、公衆衛生上の重大な課題である。

意志の力ではなく「環境調整」が回復の鍵

本書が示すのは、ACEsからの回復は個人の意志ではなく「環境調整」という具体的な技術にあるという考え方だ。ACEsを抱える人の脳は常に「戦場」にいると認識し、ストレスホルモンを放出し続ける「警戒モード」に固定されている。この状態では、いくら高度なカウンセリングを受けても効果が限定的になってしまう。

本書が推奨するのは、物理的な安全と生活基盤を固める「福祉的アプローチ」である。安全な眠りの確保は脳の炎症を鎮める医療的効果を持ち、デジタル・デトックスにより不安を増幅させる刺激を物理的に遮断する。さらに自立を「依存先を増やすこと」と定義し、専門家や行政サービスなど安全な「外側のつながり」を構築することが重要とされている。「自分を変える」前に「自分を取り巻く環境」を戦略的に選び直す。この具体的かつ論理的な手法が、負の連鎖を断ち切るための最も確実な一歩となるのだ。

著者・和田一郎について

著者の和田一郎は社会福祉士・精神保健福祉士で、筑波大学大学院人間総合科学研究科修了、博士(ヒューマン・ケア科学)の資格を持つ。茨城県職員として福祉事務所や児童相談所に勤務した後、2013年度より社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所主任研究員として研究者として活動を開始し、2022年より獨協大学国際教養学部教授を務めている。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000018939.000007006.html