蝉谷めぐ実『見えるか保己一』が第39回山本周五郎賞を受賞


全盲の国学者・塙保己一を描いた『見えるか保己一』
2026年5月14日に「第39回山本周五郎賞」の選考会が行われ、株式会社KADOKAWAより2026年3月13日に刊行した蝉谷めぐ実著『見えるか保己一』が受賞した。江戸時代後期に活躍した全盲の国学者・塙保己一を主人公に、学者としての輝かしい経歴の裏にあった周囲とのすれ違いと苦悩を濃密に描いた作品である。
選考委員からの高い評価
選考委員を代表して選考経過を述べた小川哲氏は、「見えない人になにが見えてるか、逆説的な問いかけが素晴らしかった」と評価。さらに「一見すると塙保己一の伝記にみえるが、伝記として描く国学者としての描写はカットして、心情・周囲の人々、どこまでも見えないということを描き切った覚悟を評価した」と述べた。小川氏は「新しいことをやった、想像もつかないところに連れて行ってくれたところがよかった」とも語った。
著者・蝉谷めぐ実のコメント
この日の会見で蝉谷氏は、「これまでとは書き方、考え方がちがった。何度も筆が止まり、編集者と話し合いをしながら執筆した。これまでとは違う作品になった。その作品がこうやって評価され、受賞になったのは自分の中でも背骨になる、自信になったところです」と受賞の喜びを語った。
受賞作の概要と書誌情報
本作は幼少期に失明するも学問を志し、国内最大の叢書『群書類従』の編纂という大事業に取り掛かった塙保己一。類稀なる記憶力で学者として輝かしい経歴を築きながらも、晴眼者である妻や学者仲間、弟子らとのすれ違いに直面する人物像を描いている。発売日は2026年3月13日で、定価は2,035円(本体1,850円+税)。装画は及川真雪、装丁は坂野公一と吉田友美が手がけた。
第39回山本周五郎賞について
選考委員は伊坂幸太郎氏、江國香織氏、小川哲氏、今野敏氏、三浦しをん氏の5名。贈呈式は6月に開催される予定で、選考経過は「小説新潮」7月号誌上に掲載される。本作のオーディオブック版はAudibleで同日配信され、ナレーターは三好翼が務め、再生時間は約12時間である。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000019387.000007006.html