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強かに詠む

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作文・エッセイ
公募ママ

公募歴5年、入選回数は200以上。驚異の入選確率を誇る塩田友美子さんには、どんな秘密があるのだろう。読めば自分も入選できる!?

少し前のこととなりますが、キッチン・バス工業会が主催する第16回台所・お風呂の川柳で入賞をいただきました。

応募句数が8万6千句ほどあり、その中で選ばれたことを大変嬉しく思います。

お題は「台所・お風呂での様々な思い出や、出来事」。

入選した句がこちら。

「見ないふり夫婦茶碗にある亀裂」

よくよく見なければわからないほどの亀裂。

気にしなければまだ使える程度のものなのでしょう。

しかし、ひびが入っているのは茶碗か、それとも夫婦関係か……と匂わせるような、ほんの少しブラックな作品にしました。

川柳公募は明るい作品が選ばれる傾向にありますが、たまには良い子の殻を破り強かに詠むのも楽しい。

あくまでもフィクションですが。

この作品を詠んだ背景には、コロナ禍のためか多くの人が現実を見始めたように感じたことがきっかけにあります。

差し迫った事態の中で、不要なものは自然とそぎ落とされ、大切なものだけが手元に残ってきている傾向が私にはあります。

非効率な仕事方法の改善や、不要な習慣や習い事の整理、本当に会いたい人の再確認など。

ずっと見ないふりをしていた現実を突きつけられる機会が増え、目が覚めてきたという感覚に近いかもしれません。

世の中が変わってきたことに伴い、家庭のあり方にも変化が出てきたと感じる方は多いのではないでしょうか。

家族と顔を合わせる時間が多くなったり、力を合わせて乗り越えなければならない局面に遭遇したりした時、一番大切なことは互いの理解だと思います。

不和が起こる可能性も高まる、おうち時間のトラップ。

結束力の強さを今まさに、私たちは試されているように感じます。

そういうわけで私としては、現代らしさを夫婦茶碗にのせて詠み込んだつもりです。

しかし、振り返ってみると時事ネタというほどではなかったなと思います。

毎回同じテーマで募集しているということもあり、上位の句は流行語や旬なネタを扱った作品が多くありました。

ただし、流行語は多くの方が使うキーワードなので、特に新鮮な情報と、斬新な切り口が必要となります。

上位の句を読んで、自分はまだまだだなと再確認。

そして、次こそは旬なネタをオリジナリティあふれる目線で詠むぞ!と意気込んでいます。