あなたのデビュー作はどこから? ライトノベル作家になれる賞はコレがおすすめ!
ライトノベル(以下、ラノベ)とは、主に10代の読者を対象にしているエンタメ小説のこと。アニメ風挿絵や表紙があるのが特徴で、キャラクターのビジュアルや世界観の雰囲気に魅了されて手にとり、そこからハマる人も多いジャンルです。
なんとなくラノベといえば、中高生が読みやすい文体で書かれた、アニメ・ゲーム調のファンタジー作品を想像するもの。しかし昨今では、一般文芸で活躍している作家が、キャラクターにフォーカスして書いた作品がラノベとして分類されたり、逆にラノベ作家が一般文芸で賞をとったり……と、何が「ラノベ」なのかを一概に定義できなくなっているのも事実。なかには、ターゲットが中高生ではなく、大人を対象にしている作品も出てきているので、日々、ラノベと一般文芸の境目は曖昧になっています。
とにかく、面白ければなんでもアリなのは、一般文芸もラノベも同じ。「小説家になりたい!」と考えている人は、あまりジャンルに縛られず、ラノベレーベルが主催する賞への応募も検討してみてはいかがでしょうか。
この記事では、ラノベでの作家デビューを目指す上でオススメの賞を9つ、集めてみました。それぞれの賞の特徴に合わせて、主な出身作家を代表作とともに記載してあります。昔アニメで見たお気に入りの作品や、意外な作者がデビューしていることも!? ぜひ参考にしてみてくださいね。
はやく結果を出したいあなたにぴったり? MF文庫Jライトノベル新人賞
「めくり、出逢う、おもしろさ!」がキャッチコピーの「MF文庫J」からデビューを目指す新人賞。3月、6月、9月、12月と年4回予備審査があり、3ヶ月ごとに結果がわかるシステムです。最優秀賞を逃しても、各期の予備審査の三次選考を通過し“チャレンジ賞”に認定された人は、編集部が活動資金などをバックアップしてくれるという特典も。応募者全員、評価シートがもらえるのもうれしい! 第4回受賞の志瑞祐氏は本賞の審査員も務めていますよ。
【主な受賞作家(『』内は代表作):『緋弾のアリア』赤松中学、『探偵はもう、死んでいる。』二語十、『精霊使いの剣舞』志瑞祐】
10段階評価シートでわかる、あなたの強みと弱み ファンタジア大賞
1989年から続く「ファンタジア大賞」は、今年で第37回目。前期(8月末締切)・後期(2月末締切)で作品を募集しています。マイページを作成して作品を投稿すれば、あなたの強みがわかる10段階評価シート(一次通過作品のみ)の内容や、投稿した作品すべての選考経過が一目瞭然! 賞にもれた作品も、最終選考まで残れば10万円プレゼントのチャンスあり。
主な受賞作家(『』内は代表作):『スレイヤーズ!』神坂一、『棺姫のチャイカ』榊一郎、『デート・ア・ライブ』橘公司
受賞を逃してもチャンスいっぱい! 電撃小説大賞
ラノベ好きにはおなじみ、「電撃文庫」からデビューしたいならこちら。毎年四月に開催されています。小説投稿サイト「カクヨム」からの応募も可能で、すでに投稿した作品で挑戦することも可能。『とある』シリーズの鎌池和馬、『俺妹』の伏見つかさなど、受賞を逃しても担当者の目に留まりデビュー、のちに大活躍している作家が多数いるのは本賞ならでは。大人を対象にしたレーベル『メディアワークス文庫』からの刊行を想定した賞も! 短編部門もあるので、短編が得意な人にもオススメです。
主な受賞作家(『』内は代表作):『ブギーポップは笑わない』上遠野浩平、『図書館戦争』有川浩、『ソード・アート・オンライン』川原礫
講談社にもラノベレーベル、あります 講談社ラノベ文庫新人賞
2011年「講談社ラノベ文庫」の創刊に合わせて始まった、比較的まだ新しい新人賞。以前行われていた「講談社ラノベチャレンジカップ」と2019年から統合し、以降は毎年2回開催(5月・11月)となっています。応募総数が他の賞と比べると少なめなので、応募するなら今が狙い目かもしれません。一次選考通過者には評価シート、二次選考通過者には担当者がつきますよ。
主な受賞作家(『』内は代表作):『実は俺、最強でした?』澄守彩
全入賞作品、刊行までサポート GA文庫大賞
選考過程が一新され、さらに手厚く充実した内容に進化した小説賞。最終選考に進んだ人は、次の通期の一次審査をパスできたり、最終選考で落選しても応援金5万円のほか、編集者からマンツーマンでアドバイスがもらえたりと、うれしい特典が増えました。また金賞や銀賞でもコミカライズのチャンスあり。本賞では希望者のみ評価シートがもらえるので、欲しい人は忘れずに請求して。
主な受賞作家(『』内は代表作):『這いよれ!ニャル子さん』逢空万太、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』大森藤ノ、『天才王子の赤字国家再生術』鳥羽徹
何を書こうか迷っている……そんなあなたへ 集英社ライトノベル新人賞
「王道部門」「ジャンル部門」「IP小説部門」という3つの部門から選んで応募できる新人賞。「王道部門」はその名の通り、あなたが「これぞ王道!」という物語で挑みましょう。各回ごとに決まったジャンルで募集する「ジャンル部門」は、まだ何を書こうか決めていない人にオススメです。IP小説部門の“IP”とはアイデアプロローグのこと。文庫見開きサイズ20枚以内という少ない文章量で応募できるうえに、未完でも応募OKです!
主な受賞作家(『』内は代表作):『継母の連れ子が元カノだった』紙城境介
豪華プロモーションで華々しくデビュー! スニーカー大賞
前述した電撃文庫、ファンタジア文庫と並んで、歴史のあるラノベレーベル「スニーカー文庫」の名を冠した賞。前期(3月末締切)後期(9月末締切)制に加えて、最終選考を含めて選考が四回あるので、他の賞と比べて短いスパンで結果が発表されるのが特徴です。今の実力でどの段階まで進めるか、ぜひ腕試しをしてみてくださいね。大賞作品は賞金300万円、コミカライズ確約に加え、ボイスつき動画の制作も。
主な受賞作家(『』内は代表作):『十二人の死にたい子どもたち』冲方丁、『涼宮ハルヒの憂鬱』谷川流
3巻刊行にコミカライズ確約……夢がつまった賞内容は必見! オーバーラップ文庫大賞
2023年4月に10周年を迎えた「オーバーラップ文庫」からデビューできる小説賞。年2回(6月末締切・12月末締切)行われる選考で佳作を選び、そのなかから大賞と金賞、銀賞を選出します。大賞は300万円に加えて3巻まで刊行確約、さらにはコミカライズの確約も! 応募すればもれなく全員評価シートがもらえるので、受賞を逃したとしても、次回作につなげられるメリットもあり。
主な受賞作家:『星になりたかった君と』 遊歩新夢、『平安あかしあやかし陰陽師』遠藤遼
郵送応募可なのは9つのうち、ここだけ 小学館ライトノベル大賞
オンラインでの応募が主流の今もなお、紙原稿(ただし、手書き原稿は不可)での応募が可能な珍しい賞。毎年9月に開催されています。入賞作品は、小学館のラノベレーベル「ガガガ文庫」からデビューが確約されます。毎回、アニメーターやゲームプロデューサーなど、さまざまな分野からゲスト審査員を迎えているので、憧れのクリエイターに作品を見てもらえるチャンスが巡ってくるかも。
主な受賞作家:『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』渡 航、『二度めの夏、二度と会えない君』赤城大空、『千歳くんはラムネ瓶のなか』裕夢