せきしろの自由律俳句 第80回「のぼる」結果発表
結果発表
第 80回 課題: のぼる
せきしろの一句
ソファーにのぼって背を比べてきた頃
最優秀賞
影の輪郭を見つける夜明け
( 神奈川県 一里塚 29歳)
夜明け。全てが真っ暗だった風景が少しずつ青くなり、空が白み始める。やがて太陽がのぼり、同時に影が生まれる。その時間を切り取った俳句である。影の輪郭という表現が良い。
優秀賞
坂の上の年老いた町
( 千葉県 xissa 58歳)
そこは若者を見かけなくなった町なのか、はたまた建物が古くさびれてしまった町なのか。私はそういう町を見て少しでも「郷愁」に触れてみたいから、坂をのぼることは苦痛ではないのである。
迷いない煙がこんなにも細い
( 千葉県 桜那恵 25歳)
風もなく、そして揺れることもなくまっすぐとのぼっていく煙。線香の煙だろうか。ちなみに「細煙」は貧しい生活という意味もある。そう考えると別の解釈も生まれるが、いずれにせよ静かである。心地よい。