公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

小説新人賞受賞の条件⑤:どこに応募するか

タグ
小説・シナリオ
小説
バックナンバー

欲しい賞よりあった賞を

純文学系かエンタメ小説系か

まず、どの賞が純文学系で、どの賞がエンターテインメント小説系なのかを知っておきたい。純文学系のメジャーな賞は、文學界新人賞、新潮新人賞、群像新人文学賞、すばる文学賞、文藝賞。これらの賞は文芸誌を母体としており、下記の表を見てもわかるように各文芸誌は芥川賞作家を輩出している。このことからも純文学系と言える。勘違いしがちなのは、オール讀物新人賞、小説現代長編新人賞、小説すばる新人賞など。これらの賞の母体となるのは文芸誌ではなく小説誌(読み物誌)。レベルが高く権威もあるので勘違いする人もいるが、小説誌は娯楽読み物を掲載する雑誌なので、これらの賞はエンタメ小説系だ。

選考委員の感想を想像してみる

賞のジャンルはタイトルでわかるものもある。タイトルにミステリー、ファンタジーなどとあればそうしたジャンルの賞であり、星新一、藤本義一とあれば顕彰する作家のジャンルだろう。ジャンルがなんであれ、要は面白ければなんでもいいわけだが、面白さにもいろいろある。純文学系では小説自体の形を壊してしまったような面白さが求められそうだし、エンタメ小説系の面白さにしても、感動する話、深い話、スカッとする話、しみじみする話……いろいろある。ひとつの考え方だが、「この選考委員はどんな話ならいいと思ってくれるか」。これを考えれば、賞の傾向から大きくはずれることはまずないはずだ。

スクリーンショット 2023-12-11 171707.png

 

得意ジャンルと作品の完成度

ジャンルを選ぶときは、自分と相談するという手もある。つまり、自分はいつもどういう小説を読んでいるか、書いているかで判断する。間違っても、たまに読む程度のジャンルを選ばないこと。
ジャンルものはそのジャンルの小説は読み飽きたという人でないと書くのは難しい。自分の得意な小説ジャンルは何かとともに、自分がどの程度のレベルにあるかも考スたい。夢は大きいほうがいいが、身の丈に合った賞に応募するのもそれなりに楽しい。徐々にステップアップさせていく手もある。

書きたいものしか書けない

もう1つ、応募する賞を選ぶときに勘違いしがちなのが、その賞に合った作品を書こうとすること。趣旨に合った作品を書くに決まっているじゃないか、合わない作品を書いてどうすると思うかもしれないが、もちろん趣旨に合った作品は書く。しかし、合わせるという芸当はそんなに簡単なことではない。
たとえば、過去の受賞作品を読んで、ストーリー的な面白さや予想を裏切る結末といったことより、淡々とした日常の中にはっと気づかせる何かがあるような作風が求められていると思ったとして、それで「はい、わかりました。書きます」と言えるとしたら、その人は相当な上級者だろう。突き詰めて言えばアマチュア作家は自分の書きたいものでしか勝負できない。賞に合わせるのではなく、合わせられる賞を探すほうが受賞は近い。

スクリーンショット 2023-12-11 172124.png

※本記事は「公募ガイド2018年4月号」の記事を再掲載したものです。

特集の続きを読む