超かんたん文章術3:抽象構成作文法2
本誌読者が挑戦!作文の過程を大公開
挑戦した読者が選んだテーマは「私の性格」。これをもとに、思いつくことをメモしてもらいました。
- 子どもの頃から内気。
- B型のわりに意外と?几帳面。
- まじめ。長所であり短所。
- 一人で過ごすのが好き。
- どちらかといえば、悲観的。
- 否定されると、すぐに傷つく。
- 度胸があるほうだと思う。
- 自分が話すよりも人の話を聞くタイプ。
- この性格は父親似。
- 「運命」はあると思っている。
- ちょっと変わった性格かも。
- 協調性がない。
- 団体行動は大嫌い。
- 好きか嫌いか極端。
- 人の意見を否定できない。
- 自分に自信がない。
- でも、どこか自信がある。
- くよくよ考える心配症。
- 老成している。
- プレッシャーに弱い
このメモに肉付けをしてもらいました。
- 子どもの頃から内気。それは今でも変わらない。三つ子の魂百までと実感する。
- B型のわりに意外と?几帳面。多分、母の影響。母はA型だから。A型に近いB型なんてあり?
- まじめが長所であり短所。たいていの場合、プラスになるけど、一人で雰囲気壊しているかなと感じることも。
- 一人で過ごすのが好き。「うちカフェ」が心安らぐ。もっといいカンジの家にいつか住む!
- どちらかといえば、悲観的。だんなさんは超楽観的。夫婦ってバランスだなと思う。
- 否定されると、すぐに傷つく。どんな小さな言葉でもダメ。冗談だったとしても、本気では? と勘繰るほど。
- 度胸があるほうだと思う。昔から案外そう。性格なんだな。
- 自分が話すよりも、人の話を聞くタイプ。自分が話して受け入れてもらえなった場合を恐れて、こうなったのでは?
- この性格は父親似。若いときはもっと似ていたと思う。私も少し冷静になり、違いを見つけられるように?
- 「運命」はあると思っている。自分の力ではどうにもできない大きな「流れ」は絶対にあると思う。
- ちょっと変わった性格かも。自分では普通だと思うけれど、「変わってる」と言われる。案外、よくない意味で。
- 協調性がない。「集団」に反発して疲れた時期もあったけど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。
- 団体行動は大嫌い。なぜか、昔から嫌いで、成長するにつれて腹立たしさを感じていた。
- 好きか嫌いか極端。中途半端は嫌い。年取ってだいぶ薄らいだかな。
- 人の意見を否定できない。嫌われたくないという思いから。でも今は「傾聴」の意味で良いことだと思っている。
- 自分に自信がない。きっと、親に愛されていると自覚できなかったせいだな。
- でも、どこか自信がある。根拠はわからない。苦労したせいか?
- くよくよ考える心配症。考えてもどうにもならないことを「趣味」のように考え続けてしまう。
- 老成している。子ども心に理不尽なことが多かったから、いろんなこと考えて生きてきた。
- プレッシャーに弱い。人から見られることも苦手だ。
次に、この1~20までの素材を、内容が似ているものに分けてもらいました。
❶両親とその影響 2,9,16,19
❷一人が好きでラク 1,4,12,13
❸話すこと、聞くこと 8,15
❹自分の性格プラス編 3,7,17
❺自分の性格ややマイナス編 5,6,18
❻自分の性格こんな面もあり編 11,14,20
❼運命について 10
次に、この❶〜❼を適当に並べ(同じグループ内の順番も前後のグループとのつながりを意識して適当に入れ替え)、草稿を作ってもらいました。
私は、一人で過ごすのが好きだ。「うちカフェ」に安らぎを感じる。
団体行動が、昔から嫌いなのだ。腹立たしさを感じるほど。
つまり、私には協調性がない。「集団」になじめず、疲れていた時期もあったけれど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。それからは、最初から属さないとか、近寄らないなどの方策を自分で取るようになった。
私は、子どもの頃から内気だったから。三つ子の魂百までだ。
だから私は、自分が話すよりも、人の話を聞いてしまうタイプだ。
人の意見はもちろん、相手の提案や誘いも、なかなか断れない。もっとも今は、聞き役が大事だという風潮になっていて、結果としてよかったのかな、と思う場合もあるけれど。
そんな私の長所はまじめなこと。でもこれは短所でもある。たいていの場合は、プラスになるのだけど、一人で雰囲気を壊しているかなと思うこともある。
度胸があるということも、長所だと思っている。
一方、マイナス面は、どちらかといえば悲観的ということ。
自分に対する否定の言葉には弱い。
すぐに傷ついてしまう。どんな小さな言葉でもダメで、冗談の話でも、本当だろうか、と考えてしまうほど。
そして、そんなことを、いつまでも、くよくよと考え続けてしまうのだ。
ほかには、好き嫌いが極端だったり、プレッシャーに弱く、人から見られることが苦手という面もある。
「ちょっと変わった性格」と言われることもある。
自分でいうのも何だが、老成している私。子ども心に、父親の言動を、理不尽だなと思っていた。そのせいだろうか。
自分に対する自信のなさも、両親に愛されていると自覚できなかったせいかもしれない。
老成した私が思うこと。それは「運命はある」。自分の力ではどうにもできない大きな流れは、絶対にあると思っている。悲観的な私も、楽観的な夫に流れつき、今は楽しく暮らしている。
グループ分けしたものを適当に並べただけですが、文章っぽくなっています。
では、流れがおかしいところなどを修正し、加筆したり削ったりし、最終的に文章として完成させてもらいましょう。それが下記の作文です。
一人の時間に思うこと
私は一人で過ごす時間が好きだ。夫も子どももいない日中、一人でコーヒーを入れ、ちょっとしたスイーツをつまみながら新聞をめくるといった「うちカフェ」の時間に至福の安らぎを感じる。仕事を持ち、子どももまだ手がかかって、自分の時間などほとんどとれない私のたまの息抜きだ。
一人が好きな私は、当然、団体行動がきらいだ。協調性がないのだと思う。「集団」になじめず、疲れていた時期もあったけれど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。それからは、最初から属さないとか、近寄らないなどの方策を自分で取るようになった。子どもの頃から内気だった私。三つ子の魂百までだ。
私は、人との会話においても、自分で話すより人の話を聞くことのほうが多い。相手の意見はもちろん、提案や誘いをなかなか断れなかったりすることもある。もっとも今は、聞き役が大事だという風潮になっていて、結果としてよかったかなと思うこともあるが。
そんな私の長所はまじめなこと。
でもこれは、短所でもあるかもしれない。たいていの場合はプラスになるが、私がまじめに取り組んでしまうため、周囲もそれに合わせなければと緊張した空気になってしまって、そんなときは、場の雰囲気を一人で壊していることを申しわけなく思ったりする。
性格のマイナス面は、物事を悲観的にとらえてしまうこと。自分に対する否定の言葉にはめっぽう弱い。
すぐに傷ついてしまう。どんな小さな言葉でもダメで、冗談の話でも、本当だろうか、と考えこんでしまうほど。そしていつまでも、くよくよと考え続けてしまうのだ。
しかし、世の中はバランスよくできているもの。悲観的な私だが、超がつくほど楽観的な夫と知り合った。
自分の力ではどうにもできない大きな流れ、「運命」と呼ばれるようなものは絶対にあると思っている私。
夫に流れつき、子どもにも恵まれて、楽しい毎日を送っている。
次回の「うちカフェ」開催を楽しみに、本日の店をたたむ私は、すっかり楽観的になっている。
※本記事は「公募ガイド2012年3月号」の記事を再掲載したものです。