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超かんたん文章術3:抽象構成作文法2

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本誌読者が挑戦!作文の過程を大公開

挑戦した読者が選んだテーマは「私の性格」。これをもとに、思いつくことをメモしてもらいました。

  1.  子どもの頃から内気。
  2. B型のわりに意外と?几帳面。
  3. まじめ。長所であり短所。
  4. 一人で過ごすのが好き。
  5. どちらかといえば、悲観的。
  6. 否定されると、すぐに傷つく。
  7. 度胸があるほうだと思う。
  8. 自分が話すよりも人の話を聞くタイプ。
  9. この性格は父親似。
  10. 「運命」はあると思っている。
  11. ちょっと変わった性格かも。
  12. 協調性がない。
  13. 団体行動は大嫌い。
  14. 好きか嫌いか極端。
  15. 人の意見を否定できない。
  16. 自分に自信がない。
  17. でも、どこか自信がある。
  18. くよくよ考える心配症。
  19. 老成している。
  20. プレッシャーに弱い

このメモに肉付けをしてもらいました。

  1. 子どもの頃から内気。それは今でも変わらない。三つ子の魂百までと実感する。
  2. B型のわりに意外と?几帳面。多分、母の影響。母はA型だから。A型に近いB型なんてあり?
  3. まじめが長所であり短所。たいていの場合、プラスになるけど、一人で雰囲気壊しているかなと感じることも。
  4. 一人で過ごすのが好き。「うちカフェ」が心安らぐ。もっといいカンジの家にいつか住む!
  5. どちらかといえば、悲観的。だんなさんは超楽観的。夫婦ってバランスだなと思う。
  6. 否定されると、すぐに傷つく。どんな小さな言葉でもダメ。冗談だったとしても、本気では? と勘繰るほど。
  7. 度胸があるほうだと思う。昔から案外そう。性格なんだな。
  8. 自分が話すよりも、人の話を聞くタイプ。自分が話して受け入れてもらえなった場合を恐れて、こうなったのでは?
  9. この性格は父親似。若いときはもっと似ていたと思う。私も少し冷静になり、違いを見つけられるように?
  10. 「運命」はあると思っている。自分の力ではどうにもできない大きな「流れ」は絶対にあると思う。
  11. ちょっと変わった性格かも。自分では普通だと思うけれど、「変わってる」と言われる。案外、よくない意味で。
  12. 協調性がない。「集団」に反発して疲れた時期もあったけど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。
  13. 団体行動は大嫌い。なぜか、昔から嫌いで、成長するにつれて腹立たしさを感じていた。
  14. 好きか嫌いか極端。中途半端は嫌い。年取ってだいぶ薄らいだかな。
  15. 人の意見を否定できない。嫌われたくないという思いから。でも今は「傾聴」の意味で良いことだと思っている。
  16. 自分に自信がない。きっと、親に愛されていると自覚できなかったせいだな。
  17. でも、どこか自信がある。根拠はわからない。苦労したせいか?
  18. くよくよ考える心配症。考えてもどうにもならないことを「趣味」のように考え続けてしまう。
  19. 老成している。子ども心に理不尽なことが多かったから、いろんなこと考えて生きてきた。
  20. プレッシャーに弱い。人から見られることも苦手だ。

次に、この1~20までの素材を、内容が似ているものに分けてもらいました。

❶両親とその影響 2,9,16,19
❷一人が好きでラク 1,4,12,13
❸話すこと、聞くこと 8,15
❹自分の性格プラス編 3,7,17
❺自分の性格ややマイナス編 5,6,18
❻自分の性格こんな面もあり編 11,14,20
❼運命について 10

次に、この❶〜❼を適当に並べ(同じグループ内の順番も前後のグループとのつながりを意識して適当に入れ替え)、草稿を作ってもらいました。

私は、一人で過ごすのが好きだ。「うちカフェ」に安らぎを感じる。
団体行動が、昔から嫌いなのだ。腹立たしさを感じるほど。
つまり、私には協調性がない。「集団」になじめず、疲れていた時期もあったけれど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。それからは、最初から属さないとか、近寄らないなどの方策を自分で取るようになった。
私は、子どもの頃から内気だったから。三つ子の魂百までだ。
だから私は、自分が話すよりも、人の話を聞いてしまうタイプだ。
人の意見はもちろん、相手の提案や誘いも、なかなか断れない。もっとも今は、聞き役が大事だという風潮になっていて、結果としてよかったのかな、と思う場合もあるけれど。
そんな私の長所はまじめなこと。でもこれは短所でもある。たいていの場合は、プラスになるのだけど、一人で雰囲気を壊しているかなと思うこともある。
度胸があるということも、長所だと思っている。
一方、マイナス面は、どちらかといえば悲観的ということ。
自分に対する否定の言葉には弱い。
すぐに傷ついてしまう。どんな小さな言葉でもダメで、冗談の話でも、本当だろうか、と考えてしまうほど。
そして、そんなことを、いつまでも、くよくよと考え続けてしまうのだ。
ほかには、好き嫌いが極端だったり、プレッシャーに弱く、人から見られることが苦手という面もある。
「ちょっと変わった性格」と言われることもある。
自分でいうのも何だが、老成している私。子ども心に、父親の言動を、理不尽だなと思っていた。そのせいだろうか。
自分に対する自信のなさも、両親に愛されていると自覚できなかったせいかもしれない。
老成した私が思うこと。それは「運命はある」。自分の力ではどうにもできない大きな流れは、絶対にあると思っている。悲観的な私も、楽観的な夫に流れつき、今は楽しく暮らしている。

 

グループ分けしたものを適当に並べただけですが、文章っぽくなっています。
では、流れがおかしいところなどを修正し、加筆したり削ったりし、最終的に文章として完成させてもらいましょう。それが下記の作文です。

一人の時間に思うこと
私は一人で過ごす時間が好きだ。夫も子どももいない日中、一人でコーヒーを入れ、ちょっとしたスイーツをつまみながら新聞をめくるといった「うちカフェ」の時間に至福の安らぎを感じる。仕事を持ち、子どももまだ手がかかって、自分の時間などほとんどとれない私のたまの息抜きだ。
一人が好きな私は、当然、団体行動がきらいだ。協調性がないのだと思う。「集団」になじめず、疲れていた時期もあったけれど、あるとき、無理して合わせることはないと気づいた。それからは、最初から属さないとか、近寄らないなどの方策を自分で取るようになった。子どもの頃から内気だった私。三つ子の魂百までだ。
私は、人との会話においても、自分で話すより人の話を聞くことのほうが多い。相手の意見はもちろん、提案や誘いをなかなか断れなかったりすることもある。もっとも今は、聞き役が大事だという風潮になっていて、結果としてよかったかなと思うこともあるが。
そんな私の長所はまじめなこと。
でもこれは、短所でもあるかもしれない。たいていの場合はプラスになるが、私がまじめに取り組んでしまうため、周囲もそれに合わせなければと緊張した空気になってしまって、そんなときは、場の雰囲気を一人で壊していることを申しわけなく思ったりする。
性格のマイナス面は、物事を悲観的にとらえてしまうこと。自分に対する否定の言葉にはめっぽう弱い。
すぐに傷ついてしまう。どんな小さな言葉でもダメで、冗談の話でも、本当だろうか、と考えこんでしまうほど。そしていつまでも、くよくよと考え続けてしまうのだ。
しかし、世の中はバランスよくできているもの。悲観的な私だが、超がつくほど楽観的な夫と知り合った。
自分の力ではどうにもできない大きな流れ、「運命」と呼ばれるようなものは絶対にあると思っている私。
夫に流れつき、子どもにも恵まれて、楽しい毎日を送っている。
次回の「うちカフェ」開催を楽しみに、本日の店をたたむ私は、すっかり楽観的になっている。

 

※本記事は「公募ガイド2012年3月号」の記事を再掲載したものです。

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