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賞金には何が含まれるのか問題 印税や原稿料はもらえるのか?

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文学賞の受賞作は、主催者の媒体に掲載されたり、単行本化されたりする。
その際の原稿料や印税は? 応募要項を見ると賞金については明記されているが、原稿料や印税については記載がないほうが多い。
そこで、印税や原稿料は賞金に含まれるのかどうかを調べてみた。

億を稼ぎたいのなら印税契約

季刊公募ガイド春号の取材で松岡圭祐さんとお会いしたとき、「小説家になって億を稼ぎたいのなら、印税契約をしてくれる文学賞に応募しなければならない」と話されていた。 賞金はそのときだけのものだが、印税というのは売れていればずっと入り続けるものだからだ。

たとえば、小説を出版してもらえることになったとして、
100万円で買い取りの契約にするのと、印税7%で契約するのとでは、どちらが得か。

発行部数5000部で、定価が1500円なら、その7%は52万5000円。
だったら100万円のほうがいいと思ってしまいそうだ。
しかし、これが大ヒットし、重版につぐ重版で総計30万部になったら?
印税総額はなんと、3150万円だ。
ということで、のちのち跳ねると思えば、印税契約にしないと大損をする。

ちなみに、印税は5~12%で、新人作家の場合は7%か8%で契約するのが相場らしく、5%という場合もある。
ただ、よく「1冊も売れなかったら印税も0円」と言う人がいるが、印税は売れた部数ではなく、刷り部数をもとに計算する。
もっともそれが完売することはまずなく、けっこうな数が戻ってくる。印税が低く抑えられるのは、その分を勘案してということだろう。

大手出版社の文学賞は、出版すれば印税がでる

ここでふと疑問に思ったのが、「印税で契約しないことなんてあるのかな」だった。
賞金はあくまでも褒賞であり、原稿料や印税とは別なのではと思ってしまうのだが。

ここで察しのいい人は、「『入選作品の著作権は主催者に帰属』って規定はそういう意味だったのか」と勘繰ってしまうかもしれない。
確かに、「入選作品の著作権は主催者に帰属」ということは、著作財産権は主催者に譲渡されるということだから、そうなれば原著作者といえどももう作品を自由に使うことはできない。

しかし、これと印税とは話が別だ。
一般的には、主催者(出版社)は作品を出版販売できるが、出版社は権利を与えてくれた著作者に、その対価として著作権の使用料を払う。これがいわゆる印税だ。
従って「著作権は主催者に帰属」であっても、なんでもかんでも自由にできるというわけではない(通常、受賞後にどのように契約するか説明があるはずだ)。

今回、裏取りのため、主だった文学賞の担当者にリサーチしてみた。結果は、やはり、「賞金と印税は別」だった。
考えたら、調べるまでもなかったかもしれない。印税が7%なら、売り上げの93%は出版社が取ることになる。もちろん、その中には印刷費もあれば、取次や書店の取り分もあるが、それにしたって「印税は賞金に含まれている」なんてことは言わない。利益はちゃんと分配する。
そもそも一流の出版社ほど作家を大切にし、そうでない出版社に作家は寄りつかないから、そんな出版社はとっくに消滅しているはずだ。

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