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賞金には何が含まれるのか問題 印税や原稿料はもらえるのか? (2/2)

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作文・エッセイ

原稿料は賞金に含まれることが多い

では、原稿料はどうだろうか。
小説は単行本になる前に、主催者の文芸誌などに掲載されることがあるが、その場合は原稿料をもらえるのだろうか。

応募要項に原稿料について明記している文学賞は少ないが、なくはない。
たとえば、文藝賞は「賞金50万円(雑誌掲載の原稿料含む)」と記載されている。
大藪春彦新人賞には、「受賞作品の雑誌掲載の原稿料は、賞金に含まれるものとします」とある。

ここから考えると、「印税については賞金とは別に支払うが、原稿料については賞金に含まれるものとする」というのが大多数のようだ。
雑誌での掲載は、それ自体は大きな利益を生むわけではなさそうなので、原稿料も別途支払ってくれたらラッキーぐらいに考えておけば、あとでがっくりということはなさそうだ。

地方文芸は原稿料も印税もないが、商業出版されれば別

これまでは主として大手出版社の文学賞を対象にみてきたが、地方文芸や自治体文学賞の場合はどうだろうか。
これについても主催者に聞いてみたが、ほぼ全公募、「原稿料も印税も賞金に含まれる」という回答だった。

大手出版社の新人発掘を目的とした文学賞と違い、文化事業や生涯教育事業としての文学賞は、受賞作を商品にして売ろうという発想も、売れるという見込みないから、印税や原稿料の支払いは端から考えていないという印象だった。

確かに、市の刊行物や非売品の作品集では収益がなく、仮に一部有料で販売したとしてもそんなには売れない。利潤追求でやっているわけではないのだし、賞金も出しているのだから、そのへんは協力してよという感じだ。
ただ、地方文芸や自治体文学の中には、ときどき、出版社が協力していることがあり、主催者とは別に出版社が刊行することがあるが、その際は出版社から印税が支給される。

まとめると、非売品の作品集レベルでは原稿料も印税も支給されないが、商業出版されるとなれば別で、「入賞作品の著作権は主催者に帰属」となっていても、改めて出版契約をすることになる。著作権法でも「出版の際に想定できなかった権利は、譲渡した側に留保されていると考える」とあり、一から十まですべて主催者のものというわけではない。

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