せきしろの自由律俳句 第86回「昼」結果発表 (2/3)
第 86回 課題: 昼
佳作
再配送寝転んで昼を待つ
(東京都 マモー摩擦 73歳)
晴天の午後に虫歯を治療されている
(広島県 日曜日のりんご 62歳)
昼の魔法でメロンパンがうまい
(神奈川県 広瀬誠 62歳)
ただ鳩の声を聞く
(大阪府 mtrpkn 50歳)
昼間見る風呂場よそよそしい
(福岡県 迷鳩 46歳)
二人でもそうめんは三束
(埼玉県 さっちも 52歳)
夜になればまた言い争う
(東京都 ふすま苫小牧 21歳)
昼休みが終わっても揉めている
(和歌山県 中村マコト 51歳)
また炒飯かと言うような顔はしてはいけない
(愛知県 そうた 16歳)
白昼夢のような毎日となる66才
(東京都 長江銀湖 66歳)
昼に祝う年明け
(東京都 川村仁 16歳)
スパゲッティーで済ませた昼の湯切り
(埼玉県 天海楓 20歳)
遮光カーテンの裏に日曜の賑わい
(栃木県 縦川 島々 34歳)
いてもいなくても昼はくる
(神奈川県 森林 35歳)
おにぎりの棚が力尽きている
(北海道 エリンギ 36歳)
5軍の皿で焼きそばを食べる2時
(大阪府 まるかお 51歳)
ブランコで遊ぶ双子が行ったり来たり
(東京都 ハルオ 52歳)
猫に数時間盗まれる
(三重県 KOZO55 55歳)
軒下ばかり暗い昼に風鈴
(京都府 梅野なお 55歳)
土筆を摘んでデスクに並べる
(静岡県 幸江 56歳)
テーブルの上にソーメンの水たまり
(千葉県 xissa 58歳)
またコーヒーを飲む昼
(神奈川県 ばんぶらー 60歳)
独り言を云つてゐる春の川
(埼玉県 木村隆夫 73歳)
昼に通ると墓地が見えた
(長崎県 毎日ハッピー 45歳)
『再配送寝転んで昼を待つ』。宅配便をただ寝転んで待つ。私のことを言われているような句に思えてくる。ただ、万が一何かしていたために宅配便が来たことに気づかない可能性もあるから寝転んで待っているのだという言い訳はしておきたい。
『晴天の午後に虫歯を治療されている』。晴天の日に気が進まない場所へ行くのは苦痛すらある。今まで生きてきて私は何度さぼったことか。
『昼の魔法でメロンパンがうまい』。朝の魔法で白米がよりおいしくなり、夜の魔法でお酒がよりおいしくなる。パンの香りが伝わってくる句。
『ただ鳩の声を聞く』。孤独な昼。しかしそれは必要な昼なのだ。
『昼間見る風呂場よそよそしい』。昼間の浴室を見た時になんとなくあった違和感を俳句に!感謝。
『二人でもそうめんは三束』。楽しそうな昼。関係ないが私はいつも茹ですぎる。足りないよりは良いか。
『夜になればまた言い争う』。昼間はお互い仕事や学校なのか。夜になれば帰宅して口論の続き。憂鬱になる。
『昼休みが終わっても揉めている』。こちらも喧嘩。昼食を終えて帰ってきてもまだ揉めている。ほんのりと他人事感がする。
『また炒飯かと言うような顔はしてはいけない』。その通り。16才での気づき。
『白昼夢のような毎日となる66才』。自分が66才になった時に思い出しそう。