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直木賞候補作が決定!科学と欲望が織りなす2つの物語に注目が集まる

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報道発表
伊与原新『藍を継ぐ海』(プレスリリースより)

文学界に新たな風が吹き込む。第172回直木賞の候補作品が発表され、伊与原新氏の『藍を継ぐ海』と月村了衛氏の『虚の伽藍』が選出された。両作品は、それぞれ独自の視点から人間の本質に迫る意欲作として注目を集めている。

伊与原新氏の『藍を継ぐ海』は、科学の視点から人間の営みを描く短篇集だ。徳島の中学生がウミガメの卵を育てる物語や、北海道で隕石を探す身重の女性の姿など、日常に潜む科学の不思議さを丁寧に紡ぎ出している。著者の地球惑星科学の博士号を持つ経歴が、作品に深みと説得力を与えている。

一方、月村了衛氏の『虚の伽藍』は、バブル期の京都を舞台にした社会派小説だ。燈念寺派という仏教宗派の内部抗争を軸に、主人公の僧侶・凌玄が権力の頂点を目指す姿を描く。宗教と金銭、そして人間の欲望が絡み合う様を鮮烈に描写し、読者を引き込む。

両作品は、著者たちにとって2度目の直木賞候補入りとなる。伊与原氏は『月まで三キロ』で新田次郎文学賞を、月村氏は『欺す衆生』で山田風太郎賞を受賞するなど、すでに文壇で高い評価を得ている実力派だ。

『藍を継ぐ海』は9月26日に、『虚の伽藍』は10月18日に発売される。直木賞の選考会は2025年1月15日に行われる予定だが、それを待たずして両作品への期待が高まっている。科学の視点から人間を見つめる作品と、社会の闇に切り込む作品。この対照的な2作品が、現代日本文学にどのような影響を与えるのか、今後の展開が楽しみだ。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001798.000047877.html