バブル期の兄弟の栄光と挫折!西﨑伸彦著『バブル兄弟』が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞


文藝春秋から刊行された西﨑伸彦氏の著書『バブル兄弟 "五輪を喰った兄" 高橋治之と "長銀を潰した弟" 高橋治則』が、第56回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。本作は、バブル期を象徴する実業家兄弟の波乱万丈な人生を描いた話題作だ。
高橋治之と高橋治則という兄弟は、エリートコースを歩んだにもかかわらず、最終的には法に触れる行為で逮捕されるという驚きの展開を見せた。兄の治之は東京オリンピックでの収賄容疑で、弟の治則は信用組合破綻に関する背任容疑で、それぞれ30年近い時を隔てて逮捕されている。
西﨑氏は「週刊文春」での長期連載を経て本書を完成させた。複雑な人脈を丹念に追い、細部まで綿密な取材を重ねた努力が実を結んだ形だ。特筆すべきは、現在裁判中の治之へのインタビューに成功し、その生の声を掲載している点だろう。
本書は単なる兄弟の伝記にとどまらず、戦後日本の奇跡的な復興から、バブル経済の狂乱、そしてその崩壊までを鮮やかに描き出している。「昭和」という時代の光と影を、2人の人生を通して浮き彫りにした秀作と言える。
大宅壮一ノンフィクション賞は、ジャーナリスト・大宅壮一氏を記念して1970年に制定された権威ある賞だ。ノンフィクション界の芥川賞・直木賞とも呼ばれ、毎年優れた作品を表彰している。
西﨑氏は受賞コメントで、「バブル期を象徴する実業家だった弟とスポーツビジネス界の第一人者だった兄。2人はいかにして成功を手にし、躓いたのか。その取材は、複雑な人脈から細い糸を手繰り寄せていくような作業でした」と述べ、取材協力者への感謝の意を表した。
『バブル兄弟』は2025年1月9日に発売予定。定価は2,310円(税込)。バブル経済や日本の近現代史に興味がある読者はもちろん、人間ドラマを楽しみたい方にもおすすめの一冊となりそうだ。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000670.000043732.html