国際文化会館ジャーナリズム大賞、日中関係と児童ポルノ問題に切り込む力作が受賞
国際的な視点から日本の課題に迫るジャーナリズムを表彰する「第2回国際文化会館ジャーナリズム大賞」の受賞作品が発表された。76作品の中から選ばれた4作品が、日本と世界の関わりについて鋭い洞察を示し、読者の心を掴んだ。
大賞には、日本経済新聞社の「ニッポン華僑100万人時代」と読売新聞社の「日本周辺での中国軍活動に関する一連の報道」が選出された。前者は、2026年に在留中国人が100万人を突破する見通しを独自に予測し、教育移住や新チャイナタウン形成など、日本社会における"内なるグローバル化"の実態を多角的に分析。後者は、中国軍の台湾上陸作戦演習や宮古海峡での特異活動を独自取材で明らかにし、東アジアの安全保障環境の変化を鮮明に描き出した。
オピニオン部門賞には、三牧聖子・同志社大学教授の「アメリカという永遠の難問」が選ばれた。高坂正堯氏の論考を現代的視点で再評価し、アメリカの「マグマのような被害者意識」や欧米中心の国際秩序への批判を通じて、多極化時代における日本外交のあり方を問うている。
特別賞はTansa×NHK共同取材班の「子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇」に関する一連の報道が受賞。児童ポルノ取引アプリの運営実態を追跡調査し、年間数億円の収益構造やAppleの関与を明らかにした。
選考委員長の林香里・東京大学大学院情報学環教授は、「すべての応募作品を通じて、民主主義と自由社会を支えるジャーナリズムの役割を改めて確認した」とコメント。受賞作品は、グローバルな視点から日本社会の課題に切り込み、読者に新たな洞察を提供している。
7月14日には国際文化会館(東京・六本木)で表彰式・レセプションが開催される予定だ。Foreign Affairs編集長のダニエル・カーツ・フェラン氏による「激動する世界秩序とジャーナリズムの役割」と題した記念講演も予定されており、ジャーナリズムの未来について議論が交わされることだろう。
国際文化会館ジャーナリズム大賞は、綿密な取材やデータに基づく調査を行い、日本と世界との関わりの中で生じる新たな可能性と課題に光を当てた報道を表彰する賞だ。今回の受賞作品は、まさにその趣旨に沿った、時代の先を見据えた優れたジャーナリズムの成果と言えるだろう。
出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000054811.html