江戸時代末期から明治時代にかけて、海外で大ブームを巻き起こした日本の陶磁器「SATSUMA（薩摩焼）」。その中でも、大阪で生まれ育った藪明山（やぶめいざん）の工房が手掛けた作品は、その精緻な技巧で世界中のコレクターを魅了した。そんな幻の薩摩焼の魅力に迫る特別展「YABU MEIZAN」が、2025年9月3日から11月3日まで大阪歴史博物館で開催される。

藪明山こと政七（1853～1934）は、南画家の子として大阪に生まれ、明治13年（1880）に薩摩焼の上絵付工房を開設。その後約半世紀にわたり、欧米向けの輸出用薩摩焼の製作と販売を手がけた。特に小型で緻密な上絵付作品は、他の産地の追随を許さない品質で、海外の展覧会でも高い評価を得ていた。

本展では、藪明山の実像に迫るべく、約50点の貴重な作品が展示される。中でも注目は、掌に収まるほどの小さな花瓶で、全体に隙間なく細密な紋様が施された逸品だ。また、明治初期の作品と見られる「白象唐子遊図皿」も展示され、藪明山の技術の進化を垣間見ることができる。

展示解説も9月6日と10月18日に予定されており、大阪歴史博物館の学芸員が直接作品の魅力を解説する。入場料は常設展示の観覧料に含まれており、大人600円、高校生・大学生400円。中学生以下や65歳以上の大阪市民は無料で観覧できる。

「YABU MEIZAN」展は、近代大阪の美術工芸界に重要な足跡を残した藪明山の功績を再評価する貴重な機会となる。世界を魅了した日本の美の粋を、ぜひこの機会に体感してほしい。

出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000135074.html